1930⇒1939

女ドラキュラ(1936)

"DRACULA'S DAUGHTER"
アメリカ / ユニバーサル

[Staff]
制作:E・M・アッシャー
監督:ランバート・ヒリヤー
脚本:ギャレット・フォート
原作:ブラム・ストーカー(「ドラキュラの客」)
撮影:ジョージ・ロビンソン
メイク:ジャック・P・ピアース
特撮:ジョン・P・フルトン
音楽:エドワード・ウォード(ハインツ・ロイムヘルド)
配給:ユニバーサル

[Cast]
ジェフリー・ガース・・・オットー・クルーガー
マリヤ・ザレスカ・・・グロリア・ホールデン
ジャネット・ブレイク・・・マルガリート・チャーチル
フォン・ヘルシング博士・・・エドワード・ヴァン・スローン
サンダー・・・アービング・ピシェル
バジル・ハンフリー卿・・・ギルバート・エメリー
アルバート・・・ビリー・ベヴァン
リリ・・・ナン・グレイ
エスメ・ハモンド夫人・・・ヘッダ・ホッパー
オーブリ―卿・・・クロード・オリスター

[Story]
 ドラキュラを倒したフォン・ヘルシング教授は、現場を警察に見つかりドラキュラ伯爵殺害の罪で現行犯逮捕され、スコットランドヤードに保護されてしまう。ドラキュラの遺体は警察に保管されるが、ある夜、黒衣の女性が現れ、見張りを殺してドラキュラの遺体を持ち去ってしまった。その黒衣の女こそ、ドラキュラの娘・マリヤ・ザレスカ夫人であった。
 ザレスカは、自らの呪われた宿命を払拭するため、ドラキュラの遺体を焼却するが、それでもなお血を求めて夜な夜なさまようことになる。
 ヘルシング教授は身受け人として弟子のジェフリー・ガース博士に連絡を取り、面談をするが、ガースはヘルシングの吸血鬼説には否定的であった。しかし、ヘルシングの行為の正当性を証明するために奔走する事を約束し、ガースはハモンド夫人のパーティへと赴いた。パーティ会場で、主催者夫人からガースは、一人の女性を紹介される。
その女性こそ、マリヤ・ザレスカ夫人であった。

[Text]

 「魔人ドラキュラ(1931)」の続編と言われるが、この当時は「シリーズ」というものの概念が希薄だったのか、前作とは一貫性が無い箇所が多々ある。続編というよりは、「まったく違う物語」と解釈したほうが自然と言えば自然。
 ヘルシング教授はドラキュラ伯爵惨殺の咎で逮捕されるが、現場にはジョン・ハーカーやミーナもいたはずで、ドラキュラが吸血鬼であることを立証する材料などいくらでもあった。それが本作ではまったく無いことになっている。すなわち「魔人ドラキュラ」はドラキュラに止めを刺した時点で完結しており、この「女ドラキュラ」は、ヘルシングがドラキュラに止めを刺したところから始まっている「別の物語」である。これは、前年に公開された「フランケンシュタインの花嫁」にも見られることだ。
 吸血鬼という古めかしい化け物をテーマにしながら、当時の最新技術を尽くして吸血鬼を追い込んでいくという展開で、ドラキュラを現代に持ってきた前作に比べても、より近代的なつくりになっている。社交界では腕時計や手持ちライターが登場。、ジャネットが誘拐され、トランシルバニアに逃げ帰ったザレスカ夫人を追うヘルシング教授はじめスコットランドヤードは、写真手配書と最新の通信技術を駆使し、果ては飛行機を飛ばしてトランシルバニアへ向かうという凄まじい起動力。先にドラキュラ城に乗り込んだガース博士を救うべく、彼らは銭形特攻隊よろしく、自動車を飛ばして城にやってくるのである。つまり、映像世界において、初めて描かれた「ヘルシング教授のドラキュラ城登城」は、「車で来た」のである。

 マリヤ・ザレスカ夫人を演じたグロリア・ホールデンは、この役が決まった時に嫌悪感を抱いていたという。ジャンルとして低く見られていた怪奇映画への出演が不本意だったのだ。しかし、その嫌悪感が皮肉にも、「ドラキュラの呪いから逃れたい」というザレスカ夫人と重なり、演技効果に繋がったという。そして、この作品が彼女の代表作になってしまった。
 グロリア・ホールデンはこの作品の翌年、「ゾラの生涯(1937)」で、ゾラの妻を演じている。ザレスカ夫人とは、間逆のタイプの役なので見比べてみるのも面白いと思う。

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