1960⇒1969

2010年9月アーカイブ

狂人の日記

 日本未公開作品。
 モーパッサンの短編「オルラ」を基にしてプロデューサーのロバート・E・ケントが脚色。

 ヴィンセント・プライスが「善の顔」と「悪の顔」を使い分け、また、ナンシー・コヴァックも表と裏の顔を使い分けるなど、役者の力量をふんだんに楽しめる。

 ナンシー・コヴァックは同年、「アルゴ探検隊の大冒険」に王女メディア役で出演。翌年に開始された人気テレビドラマ「奥様は魔女」では記念すべき第一話のゲストとして登場した。
その際、サマンサにダーリンを取られ「元婚約者」のシーラを演じ、サマンサに嫌がらせをしてコテンパンに返り討ちに合う、という汚れ役を見事にこなした。
以後、同シリーズに何度か出演し、そのコメディエンヌぶりで実力を示した。この作品のヒロインであるオデットは、メディア王女とシーラの中間あたりの雰囲気。なかなか器用な女優だ。

 ヴィンセント・プライスもまた「コメディ演技」には強く、器用な役者だ。「滑稽な尊大さ」というのはプライスもコヴァックも持ち合わせている「味」であり、ある意味、似たようなタイプの二人が「恋の駆け引き」の芝居をしており、その「演技合戦」がなかなか見物である。