1960⇒1969

2011年1月アーカイブ

ジャックと悪魔の国

 ?「シンドバッド 7回目の航海(1958)」(公開時題名「シンバッド 七回目の航海」)のヒットを受けて、プロデューサーのエドワード・スモールが同作の監督であるネイザン・ジュランと、シンドバッドを演じたカーウィン・マシューズ、悪役ソクラを演じたトリン・サッチャーを迎えて製作された類似的な作品。

これには、エドワード・スモールが以前にレイ・ハリーハウゼンからシンドバッドの企画を持ち込まれ、「ヒットするわけが無い」と一蹴した経緯がある。しかし、その企画「シンドバット 7回目の航海」は大ヒットとなり、後悔したスモールは急遽同等の作品を製作するに至ったという。ハリーハウゼンにも特撮のオファーをしたが、ハリーハウゼンは辞退した。

登場するモンスターは少なからずハリーハウゼンの作りだした怪物の影響を受けているようだが、その造形は雲泥の差であることは否めない。しかし、その出来の悪さがかえって「手作りの味わい」で、いかにも童話的で愛嬌がある。

反面、ペントラゴンに呪いをかけられた「魔女」のメイクは「原色猫目」のコンタクトレンズの効果も相まって非常に不気味で得も言われぬ凶暴さすら感じられる。

「シンドバッド 7回目の航海」の真似、と揶揄されることが多いが、お手軽なチープさが功を奏してか、絵本から抜け出てきたような世界観が確立されているところなどは、やはりこの作品は捨てがたいのである。