英国ハマープロが、「吸血鬼ドラキュラ(1958)」「吸血鬼ドラキュラの花嫁(1960」に続いて製作した吸血鬼物である。
「吸血鬼ドラキュラ」のヒットを受けて、クリストファー・リーのドラキュラで続編"Revenge of Dracula"が?企画された。しかし、リーが同じ役を続投する事を拒否したため、「吸血鬼ドラキュラの花嫁」が製作された。当初企画された脚本には3本の候補があったという。その中には、ヴァン・ヘルシング博士が魔法陣を描き、黒魔術を用いてコウモリの精霊を召還し、吸血鬼を退治する、というものがあったという。その案が本作「吸血鬼の接吻」で採用された。
本作で登場する、印象的なラヴナ邸の外観は、ハマーホラーにおいて「象徴的」ともいえる建造物(ミニチュア)である。後に「凶人ドラキュラ(1966)」の「ドラキュラ城」として登場するため(作品の知名度やインパクトにおいても「凶人ドラキュラ」の方が勝るためか)「ドラキュラ城」の印象が強いが、実のところそれは「流用」であった。
ジマー教授が吸血鬼に手を噛まれ、火で焼く事で治療をするシーンが登場する。これもまた、「凶人ドラキュラ」に引き継がれる。もともとは「吸血鬼ドラキュラの花嫁」で使われた治療法であった。
考えてみれば、旅行者が吸血鬼の御膝元でアクシデントに会う、吸血鬼の城に迷い込む、嫁が狙われる、その土地の「吸血鬼に造型の深い人物」に助けられる、という展開もまた、「凶人ドラキュラ」に受け継がれる。「凶人ドラキュラ」は、本作のパロディなのだろうか?(笑)
アメリカではテレビ放映の際、「KISS OF THE EVIL」とタイトルが変更され、さらに冒頭の葬儀の参列者をアメリカの役者に差し替えられた。日本でテレビ放映されたものは、アメリカTV版である。
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