1960⇒1969

2011年12月アーカイブ

 ハマーのシリーズ3作目。
 ハマーがワーナー・ブラザーズ配給でフランケンシュタイン(以後、F)映画を制作することになった時、当然のことながらユニバーサル社(以後、ユ社)のFシリーズ設定と怪物のメイクの使用許諾を得ることができず、苦肉の策でF男爵の悪行を物語の軸に据える格好で映画は完成した。ふたを開けてみればこれがヒットを飛ばし、結果としてユ社は苦虫を食いつぶすことになった。ハマー・ホラーの第二弾『吸血鬼ドラキュラ』(1958)が企画された際、ハマーは原作の映画化権を完全に掌握しているユ社に再び伺いを立てることになった。ハマーからすればこれは大きな賭けであったが、ユ社からすれば渡りに船で、世界配給を条件に『ドラキュラ』の映画化を許諾し、これが先の作品を超える大ヒットとなった。これによって屋台骨がかしいでいたユ社の経営は立ち直り、ハマー・ホラー第三弾『ミイラの幽霊』(1959)では、ユ社は『ミイラの復活
』(1940)の設定をハマーに完全貸与。以後、ハマーはユ社からの資金提供を得て、『吸血鬼ドラキュラの花嫁』(1960)、『吸血狼男』(1960)、『オペラの怪人』(1962)を制作していく。その流れで作られた作品が『フランケンシュタインの怒り』で、ここで初めてユ社のF映画の設定が許可された。めでたく、それまでのハマーのF映画のF男爵の悪行を軸とした物語の路線を踏襲しつつ、ユ社の巨大な人造人間=怪物を登場させることができたわけだ。
初作『逆襲編』は、続編『フランケンシュタインの復讐』(1958)をもって物語が完結しているため、本作はそれに干渉しない独立した一話完結の物語となっている。
 監督はテレンス・フィッシャーに変わって、当時新鋭であったカメラマン出身のフレディ・フランシス。怪物にはニュージーランド出身のプロレスラー、キウイ・キングストンが扮した。