1970⇒1979

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Count Dracula

前・後編の二部に分かれているテレビドラマである。
多少の設定変更はあるが、原作に忠実に描かれている。怪奇小説である原作をなぞる様に、時間軸も直線的に進行する。全体的に上品に、かつ抑制を効かせていて、どっしりとした雰囲気が作品を引き締めている。
 
ルイ・ジュールダンのドラキュラは、スチールでは「ドラキュラ」のイメージにそぐわないが、なかなかどうして、ドラマ中では完ぺきに成立しており、他の映画を含めても上位に位置する風格。ジュールダン自身、『鉄面皮』の役者なので、「無敵」に見えるのだ。
テレビドラマであるためか、吸血シーンも「恐怖演出」の様式美がとられていないのだが、逆にエロティックさを助長してしまっている感がある。「吸血行為」が性交の延長線上の行為のようだ。また、外でルーシーを襲うシーンは、後の「ブラム・ストーカーズ・ドラキュラ」に応用されている。
 
ルーシーの容態が悪化してから死ぬまでは「エクソシスト」の影響が見られる。ベッドの上で牙をむき出しながら舌をペロペロやるところなど、ちょっと見物だ。前述の通り、随所に「ブラム・ストーカーズ・ドラキュラ」が影響されたようなシーンがあるが、私は映画に比べて本作の方が雰囲気、サスペンス色、共に上かと思う。

ヘルシング教授がフランク・フィンレーである。この陰惨なドラマの中では少々快活だ。ドラキュラのキャラクターとは完全に正反対であり、視聴者に対して安心感を醸し出していたのではないだろうか?