拙作『ロボット・マリア像』のオーナー様から「ビルの背景を」というご注文。

 マリア像が全高約30㎝で、それが栄える背景となるとどうしても最低でも40㎝近くなります。     
 様々なポスター・ビジュアルを漁りその中からヒントを探ります。自分としてはどうしても『摩天楼』を入れたい。摩天楼がマリアの頭の上に頂く格好にしたい。これを出発点にして、「メトロポリスの構造を単純に表現する」というコンセプトになりました。

 摩天楼は前出で3Dモデリングで作っていたので、そのデータをレリーフ状に加工してプリントアウト。(※何度も失敗を繰り返して挫けそうになりました)さらにパテなどで余分な隙間を埋めてシリコン型を取り、レジンで複製。

 都市の心臓部を司る「モロク・マシン」は3Dモデリングの作り起こしです。今後の立体化を見越して、簡易的ではありますが、全体をモデリングました。さらにそれをペシャンコにしてレリーフ状にしたものをプリントアウト。当初はこの二つで組もうと思っていたのですが、それだけでは足りなかったので、労働者の居住区も作りました。パーツごとの厚みの誤差はどうしよう?まあいいや、凸凹してるのも面白い。居住区に天井が着いて陰になってるのも圧迫感があってイイじゃん。

今回はプランがグダグダだったので関連パーツを色々作ったのですよ。実はボツにしたパーツもいくつかあったのです。全体を組んでみたところ高さは足りたのですが、もう一つ迫力に欠ける感じがしたので、劇中で偽マリアがストリップ・ダンスをするときに登場するマントラ模様を摩天楼の上に「エネルギーと煩悩の爆発」の象徴として掲げました。

そもそもロボット・マリア像を造形する時には聖母マリアの対極を意識して「冷酷な処女性と陰惨さ」をテーマとしてました。ならば、それを継承するテーマにしたい。且つ、メトロポリス全体を表現するにはどうしたらよいか?『地獄的』をテーマにして
天付く摩天楼から心臓部モロク・マシン、それを操縦する労働者達の居住区を一気に作り上げました。

【メトロポリス・カースト】ご依頼品