大アマゾンの半魚人1  メビウス・モデル製『大アマゾンの半魚人』の完成品製作のご依頼をいただきました。

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数年前LIFE誌に掲載された撮影中のカラー写真を参考に、とのご希望です。近年、プラモデルもガレージキットを凌駕するものが多くなってきています。本キットも多分に漏れずハイ・クオリティなものです。造形は”クリーチャー・キッド”アダム・ドーティ氏。見事な造形です。半魚人がヒロイン、ケイを抱きかかえて海底洞窟を歩くラスト・シーンを再現したもので、一つのキットとはいえフィギュア2体分、しかも2体とも難易度が高い「単色系モンスター」と「女性」なので大変でございます。しかし、その分完成した時の達成感はひとしおです。

半魚人バストアップ 半魚人背面
 

 塗装のコンセプトは依頼者様の希望で、「半魚人は着ぐるみに忠実であることに加え、ケイの美しさと対極のグロテスクさを際立たせる、ということになりました。ケイの塗装は私に任せられました。キットの組み立てはボディ前面・背面の合いが悪く、輪ゴムでクランプして接着する必要があったくらいで後は問題ありませんでした。これは海外キットには昔からありがちのダウトです。
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 さて、パーツの接合部分の処理ですが、半魚人はウロコだらけなのでとても面倒くさいです。このキットには作業しやすくするためか接合部分には鱗がモールドされていません。そのままパテで表面処理をするだけでキットは完成しますが、今回はウロコモールドに挑戦!イボイボを簡易的に作るために、UVレジン接着剤『ボンディック』を使用しました。


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ボンディックをパテ代わりにして合わせ目を処理した後、同じくボンディックを天付けしてイボイボを作り、天付けした傍からUVライトで硬化させていきます。ライトを5秒ほど当てれば硬化するので手軽にイボイボモールドが出来ます。しかし、この方法は少々コツがいりますので、練習が必要です。まあ、UVレジンは模型製作においてかなり威力を発揮するツールですから持っていて損はありません。

 ケイの制作について。女性のフィギュア製作は神経を使います。プラモデルにしては複雑なポーズです。そのためパーツ分割が多く、その分パテ処理も大変になります。合わせ目には溶きパテを、腕や足の接合部分にはUVレジン接着剤を使用して処理を簡略化しました。仕上がりも綺麗になりました。

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   今回の作業で最も苦しかったケイの服の模様、これはもうコツコツと描いていくしかありません。映画本編から画像をキャプチャし、出来るだけ忠実に再現。ただ私は絵が下手なので、難儀しました。シャーペンで下絵を描き、白い部分はアクリル、細かい部分はエナメルで仕上げていきます。ルーペの使用は必須でした。
 女性フィギュアの要は顔の塗装、つまり化粧です。このキットはリアルな女性ですから、塗装とは違ったノウハウが必要になります。そこのところは、昔取った杵柄、舞台役者だった経験が活きます。キットの女性はジュリー・アダムスにあまり似てませんが、何とか化粧でアダムスを目指します。細い線は0.3mmのシャーペンを使うと失敗が少なくて済みます。基本はエナメルカラーで塗装します。髪の毛は赤毛に見せるために、ベースにレッドブラウン、カッパーでドライブラシをかけています。 OLYMPUS DIGITAL CAMERA
 ネームプレート、これが結構面倒くさい。カラーはパッケージのロゴを模してます。黄色ベースに赤でグラデーションを付けます。これでグラデーション部分がオレンジ・カラーになります。問題はバックの黒ですが、これはどうやって塗ればよいのかがよくわかってません。カラーリングの後、文字だけ大まかにマスキングしてフラットブラックを吹き、マスキングを除いて細かいところをエナメルの同色で墨入れをしていく方法を採用してます。  OLYMPUS DIGITAL CAMERA
半魚人完成 半魚人完成

半魚人は全体にエナメル塗料でキツめに墨入れをし、仕上げに水性アクリルの光沢クリアーで全体をコーティングして仕上げをします。完全に乾燥させてからベースと本体を接着。ケイと半魚人は接着していません。一番最後にケイを抱かせますが、これがなかなか難しい。しかし、ある一方向でのみスイッと入ります。これから作る方は、サフ吹きの段階でシミュレーションした方が良いかと思います。