フランケンシュタインの怒り

このモンスターはご覧の通りメイクがハリボテのそれでお世辞にも良く出来ているとは言えませんが、それが功を奏してかインパクトは絶大で個性的であります。

さて、「この程度だったらチャッチャと出来るだろう」とタカをくくっての作業開始でありましたが、ザツなものを再現する大変さは想像を絶していました。

演者であるキウイ・キングストンの顔から製作していきますが、まずキングストンの写真の入手が困難。メイクを担当したロイ・アシュトンのハマーでの仕事を特集した書籍『Greasepaint and Gore:The Hammer Monsters of Roy Ashton』に大変珍しいキングストンのライフマスクの写真が掲載されていました。しかしこれは横顔だけ。何とかあちらこちらから画質の良し悪し問わずかき集め、それを資料としました。キングストンはプロレスラーでもあり、顔の随所に格闘家特有の独特な特徴があります。重たい瞼、大ぶりな鼻、拳骨のような顎、餃子耳、等。これらを注視して顔を作り、それにメイクを施していくことになります。
ここで大きな問題に突き当たりました。このメイクの写真はテスト・ショットが非常に多く、どれが撮影に使われたメイクなのかが皆目わかりませんでした。映像だけでは解析に限界がある個所も多く、顔のディテールはもとより、頭の縫い目の数やこめかみのボルトの大きさに至るまでどれが本当なのかが不明。おそらく撮影中にメイクの修正が行われたり、撮影日を跨いだ誤差や時間の経過によるメイクの剥げなども見られました。

造型はスカルピーを使用。頭だけで幅6センチ、高さ8センチの寸法があります。スケールはフリーですが、巨人ということで1/6スケールになりますか。大きめに作ったので迫力があります。髪型の造型には毎度頭を悩ますところです。このモンスターは髪の毛が禿げだらけのザンバラ髪でちょいと複雑なヘアスタイルです。基本的には波平さんのような禿げ頭に頭頂部の旋毛から放射状に長髪が生えているというものです。
首とこめかみから出ている紐は今回別素材に依存しました。100円ショップで購入したギフト梱包用の紙紐です。

奇遇にも今年2014年は『フランケンシュタインの怒り』(1964)公開から丁度50年となります。それの記念にもなれば、という想いで作りました。

【作品データ】
監修:石田一
造型・塗装:怪獣男爵KAZ
全高:18㎝
材料:スカルピー
作例素材:レジンによる複製(一部紙紐)