★スタッフ
監督:キャロルリード
音楽:アントン・カラス
脚本:グレアム・グリーン

★キャスト
ホリ―・マーチンス:ジョセフ・コットン
アンナ・シュミット:アリダ・ヴァリ
ハリー・ライム:オーソン・ウェルズ
キャロウェイ少佐:トレヴァー・ハワード
ベイン軍曹:バーナード・リー

悪党のハリー・ライムは交通事故で死んだはず。目撃者は三人いる。二人はわかったが、三人目が誰なのかがわからない。第三の男とは誰なのか?友人の三文小説化ホリ―が事件を探って行く。

ハリー・ライムはオーソン・ウェルズの代名詞みたいになってる。「第三の男」の主人公はあくまでジョゼフ・コットンだが、この映画の看板スチールはオーソン・ウェルズが暗闇から顔を出してニヤついているものだ。また、オーソン・ウェルズが紹介される時に使われるスチールも多くがこれだったりする。

ハリー・ライムは、映画史の中でも指折りの悪役として知られているそうだけど、当時の価値感ではこのキャラクターはどうだったのだろう?

ピーター・ジャクソンの「乙女の祈り」では、主人公の女の子たちが、ハリー・ライムに追われる、という妄想を抱く。ティム・バートンの「エド・ウッド」では、エドがオーソン・ウェルズと出逢うが、そこでの彼もまた、ハリー・ライム的であった。あらゆるところでハリー・ライムはインスパイアされている。

死体の入れ替わりのトリックというのは、これが最初だったのだろうか?これってハマーのフランケンシュタイン映画でよく応用されていたトリックだ。「フランケンシュタインの復讐」なんか、まんまだもんね。

今となっては私にはこの映画の価値は、(勉強不足のために)わからない。どういう映画だったか?というのは、あちこちで書かれつくされているので、今更特にいうこともないだろう。大戦直後のウィーンの情勢なんか知らんし。

ただ、やはり知られている映画だけあって、一度観ただけでバッチリ頭に焼きつくのね。こりゃ仕方ない。どこをとっても、可愛げがないくらいに完璧。完璧すぎちゃって、キザでイヤミったらしい。

山の手派の映画。「コンプレックスなんかございません、だって頂点ざますもの。」というね、上から目線だねー。可愛くない。

戦後の混沌としたウィーンを舞台とした人間模様、これが日本だと「拝啓 天皇陛下様」になっちゃうんだな、多分。

ホテルのクロークのじいさんは、「フランケンシュタインの逆襲」のバーンスタイン教授の役者だった。声ですぐにわかった。