『チャイコフスキー』(1970) ソ連

ソ連(ロシア)の映画がどうとかこうとか、難しいことはわからないので専門的なことは割愛してざっくり書きます。
チャイコフスキーの伝記映画で、チャイコフスキーの有名な音楽を織り交ぜながらその半生を描いてます。ソ連映画というと「難しい」「重たい」「退屈」というイメージがあるのですが、まどろんでぼんやり観ていると割とツラツラ観られてしまうものです。

石田一さんとロシア映画のことを話した時に「ロシア映画は退屈なものが多い。ただ歴史上の人物となると顔がそっくりでね、そこは大したものだと思う。もうチャイコフスキーなんてびっくりするほどそっくりでね、さすが人口の多い国、どこかしらに似たやつがいるんだ」ということを氏が言ってまして・・・はい、そのとおりでした。

主にチャイコフスキーの人間関係を中心に展開する物語で、このチャイコフスキーがどういうわけか女にモテるんですわ。モテるのだけど上手くいかない。一人目の恋人はオペラ歌手のデジレ・アルトーで、彼女との仲はルビンシテインの反対でご破算に。二人目は教え子のアントニーナ。彼女の熱烈なアプローチがきっかけで所帯を持つも、身が持たずに破談。チャイコフスキーは自殺未遂するほどまでに追い込まれる。三人目はアントニーナとの離婚の示談金を援助し、それ以前に長年のパトロンでもあったフォン・ベック夫人。彼女はチャイコフスキーに会ったことは一度もないけれども、その音楽にほれ込み、長年文通をしてきたこともあって彼に恋心を抱いていた。しかし、これも娘婿の妨害で生涯会えずじまい、と、まあ・・・恋愛下手というか、縁がないというか・・・。

いい映画だと思いますよ。さすがにね、ドラマの要所要所に「白鳥の湖」や「ピアノ協奏曲第一番」などが挿しこまれると壮大なことこの上ない。

ただなんていうのか、重厚な割にやってることは『モテキ』でしたね。

【スタッフ】
監督:イーゴリ・タランキン
脚本:イーゴリ・タランキン/ユーリー・ナビギン/ブジミール・メタリニコフ
製作総指揮:ディミトリ・ティオムキン
音楽:ディミトリ・ティオムキン/ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー(指揮)
撮影:マルガリータ・ピリーヒナ
編集:レオニド・ネホロシェフ/ゾーヤ・ウェリョフキナ
制作会社:モスフィルム
配給:日本ヘラルド映画

【キャスト】
ピョートル・チャイコフスキー:インノケンティ・スモクトゥノフスキー
フォン・メック夫人:アントニーナ・シュラーノワ
ウラジスラフ・パフリスキー:キリール・ラブロフ
ニコライ・ルビンシテイン:ウラジスラフ・ストルジェリチク
アリョーシャ:エフゲニー・レオーノフ
テジレ・アルトー:マイヤ・プリセツカヤ
ツルゲーネフ:ブルーノ・フレインドリフ
ユリヤ・フォン・メック:アッラ・デミードワ
ラロシ・・・エフゲニ・エフスチグネーフ
アントニーナ・ミリュコーワ:リリア・ユージナ