東宝のトニー谷のコメディ『家庭の事情シリーズ』の初作。

監督は『ゴジラの逆襲』『透明人間』等の小田 基義。

小田 基義のことは詳しく知らないけれど、その監督作品のラインナップを見ると、タイトルだけでも「全部観てみたい」と思う。

住宅難の時代に、建設会社のセールスマンの戸仁井谷夫が何だかんだで、「嫁さん」と「マイホーム」を手に入れ、新婚生活を送るが、鉄道会社の地上げ騒ぎに巻き込まれて、家が分断されてそこを電車が通る事態に。プライバシーは全く無く、しかも恋に破れたかつての恋敵が、嫌がらせにその鉄道会社に電車の運転手として就職し、恋敵が運転する電車が毎日家を通過する。

やがて二人は神経衰弱に陥り、心中をしようと線路に横たわるが、鉄道会社がストライキに入って運休に。ハタと名案を思いつく谷夫。その鉄道会社に運転手として就職し、運転する電車を飯時に家に止め、乗客のブーイングの中昼飯を食い、嫁さんは乗客相手に弁当を売る。

谷夫は、「さんざ嫌がらせされたのだから、仕返しざんす」と。

知る人ぞ知るプログラムピクチャーだけれども、あの家の中を電車が通るシーンは一度見たら忘れられない。見たところ電車は「本物」のようだけれども、本物であれ偽物であれ、いまだにどうやって撮影されたのかがわからない。実物大の電車が、かなりのスピードと振動で通過していくのだ。

とにもかくにも、凄い一本である。