ブラッドベリの最近のブログ記事

『華氏451』FAHRENHEIT 451

 この映画こそ、吹替えで観るべき、と言いたくなる作品。
F451.jpgと言うのもオープニングが、林立するTVアンテナをバックにして、クレジットが表示される代わりにナレーションで読み上げられる、と言う構成だし、本編中でも一切の文字が使われておらず、数字とマークのみと言う演出になっているから。


 この映画で二役を演じるジュリー・クリスティ、TV版では鈴木弘子ではなく武藤礼子。 どこかはかなさを感じさせるところが、この役には合っている。DVD新録版の渡辺美佐だと、その辺りが感じられずちょと違う気がする。
 
 「本」達のコミュニティのリーダー(?)らしき人物「アンリ」はTV版が大木民夫、DVD新録版が大川 透。俳優の見た目からすれば大川 透でも合っているのだが、役からするとやはり軽い。TV版に比べ、新録版は破綻はないものの、全体的に軽すぎる印象を受けるのが残念。

 翻訳の面で面白いのは、新旧、両吹替えともに主人公の職業を「ファイヤーマン」と訳しているのに対し、字幕翻訳では「消防士」と訳している点。クラリスとモンターク(モンターグ)との会話の中で、吹替えだと

「ファイヤーマンは、昔は火を消すのが仕事だったってほんと?」

と言う台詞が、字幕では

「消防士って、昔は火を消すのが仕事だったってほんと?」

となっている。ここはセンスの問われるところ。