H・R・ハガードの冒険小説「洞窟の女王」のハマーによる映画化作品で
スケール感があり、幻想的で伝奇的な雰囲気がよく出ている。
吹替えの方は、オリジナルと見比べると、それぞれのキャラクターが、よりコミカルに
なっており、
青野 武などはやりすぎとも言えるほど。どこか『モンティ・パイソン』が
入っているような、そんな感じですかな。でも、まあ、それも愛嬌と言うものか。
広川リチャードソンは典型的な2枚目だし、久松カッシングも良い感じではまっている。
ロゼンダ・モンテロ(ウステイン)本人の声は、松島みのりよりもハスキーな声で、
なかなか魅力的なのだが、吹替えによって可愛らしさの方が強調されている。見た目には
合っているので、オリジナルとは違う魅力を楽しむ事が出来る。
ところで、この映画の吹替え版の訳だが、レオが、その生まれ変わりとされている
古代の神官の名前、オリジナルでは「カリクラティス」と言っているが、吹替えでは
「エクラテス」になっている。
『吸血鬼ドラキュラ』の「ホルムウッド」が吹替えでは「ホムウッド」となって
いる事と同様で、その方が日本語の台詞として喋りやすいと言う事もあるのだろうか?

'70年の吹替えだから若く聞こえて当然なのだが、それでも「若い千葉耕市」と言うのは珍しいと、つい思ってしまう。カッシングの演技と相まって、より独りよがりで歪んだ狂気を感じさせる所がなかなかのもの。
語られる神話ファンタジー。製作のチャールズ・H・シニアとレイ・ハリーハウゼンに
劇場未公開なのが惜しいほど、堂々とした貫禄のある伝奇的な歴史冒険物。
初放送時は2時間枠だが、ノーカット放送ではなく、同じNETで放送された『ショック』と言う'30年代~'40年代のユニバーサル・ホラーを1時間枠用にカットした番組で放送された『狼男の殺人』を更にカットしたものとの2本立て放送だった。豪華な2本立てとは言え、何とも勿体ない話である。