2010年6月アーカイブ

 怪奇映画の老舗ユニバーサル製作の、アマゾンの奥地で太古から生息する
半魚人と遭遇する秘境冒険物。creature.jpg

 商売気の強い研究所所長に小林 修。研究熱心でまじめな学者に家弓家正。ヒロインに北浜晴子。

 この配役が意外で、小林 修も押しの強い役は多いのだが、キャスト表だけで見れば、そう言う役は、どちらかと言えば家弓家正だろうと思うようなキャスティング。北浜晴子も『奥様は魔女』のサマンサ役がお馴染みとは言え、いかにもヒロインと言う可憐な声ではないから、これも意外なキャスティングと言える。

 ところで、今ではこの映画の読みは『だいあまぞんの「はんぎょじん」』と言う読みで通っているようだが、吹替えでもはっきりと「はんぎょにん」と言っているのでこちらの方が正しい。

『華氏451』FAHRENHEIT 451

 この映画こそ、吹替えで観るべき、と言いたくなる作品。
F451.jpgと言うのもオープニングが、林立するTVアンテナをバックにして、クレジットが表示される代わりにナレーションで読み上げられる、と言う構成だし、本編中でも一切の文字が使われておらず、数字とマークのみと言う演出になっているから。


 この映画で二役を演じるジュリー・クリスティ、TV版では鈴木弘子ではなく武藤礼子。 どこかはかなさを感じさせるところが、この役には合っている。DVD新録版の渡辺美佐だと、その辺りが感じられずちょと違う気がする。
 
 「本」達のコミュニティのリーダー(?)らしき人物「アンリ」はTV版が大木民夫、DVD新録版が大川 透。俳優の見た目からすれば大川 透でも合っているのだが、役からするとやはり軽い。TV版に比べ、新録版は破綻はないものの、全体的に軽すぎる印象を受けるのが残念。

 翻訳の面で面白いのは、新旧、両吹替えともに主人公の職業を「ファイヤーマン」と訳しているのに対し、字幕翻訳では「消防士」と訳している点。クラリスとモンターク(モンターグ)との会話の中で、吹替えだと

「ファイヤーマンは、昔は火を消すのが仕事だったってほんと?」

と言う台詞が、字幕では

「消防士って、昔は火を消すのが仕事だったってほんと?」

となっている。ここはセンスの問われるところ。

『燃える洞窟』THE VENGEANCE OF SHE

 『炎の女』の続編だが、ハガードの書いた続編、『女王の復活』の映画化ではないようだ。
吹替的にもキャストは引き継がれず、ジョン・リチャードソンは前作の
広川太V_O_S.jpg一郎から中田浩二に。
今回の役では前作のような朗らかで純粋な面はなく、重く沈んだ役柄になっているので、まあこのキャストでも良いか、とも思う。
 精神医の声が小林 修だと、話の主人公がクーマに残されたキリクラテスではなく、こいつだなと分かる辺りはご愛敬か。

 それと今回の吹替えだが、前作では「エクラテス」と言っていた名前がオリジナル通り「キリクラテス」になっている。こうして聞いていると「キリクラテス」よりも「エクラテス」の方が耳にすんなりと入ってくるし、続編なのだから、その辺りは気を使って欲しかった。