2011年12月アーカイブ

断頭台に送られた男爵が処刑の立会人を買収して生き延び、偽名を使って潜伏し、再び人造人間製造を企てる、ハマーのシリーズ第2作目。 

前作の陰鬱さを漂わせる作りとは裏腹に、幾分ライトに仕上がった作品。怪奇映画というよりはSF映画としての趣が強い。映画全体の色調、雰囲気も明るく、何よりハッピーエンドであるところはフランケンシュタイン映画としては珍しい。 

前作での男爵はその本性が描かれていたが、本作では男爵の社交性を前面に立たせている。 
男爵は極めて優雅であり、魅力ある人当たりの良い人物でもあった。 

残酷シーンはほとんど見られない。面白いことに、そのメスさばきは男爵の食事のシーンに活かされている。大きなナイフとフォークで鶏を切り分け、それを別皿に置き、その皿を手に取り、指で鶏をつまんで口に放り込む。その所作の実に見事なこと! 

男爵が天才医師であることを、この1シーンで間接的に表現しているところが、洒落ている。 

「『フランケンシュタイン』とは怪物の名ではなく、怪物の創造者の名前である」とはよく言われる。 
ところがこの作品では、最後に男爵自身が人造人間になってしまう、という、なんとも皮肉な締めくくりであった。 

とりあえず、「逆襲」と「復讐」で、1つの物語が完結するのであった。 

ちなみに、最後にフランク博士の病院のあるハーレー・ストリートは、ロンドンに実在する有名な通りで、何と医療機関が集結していることで知られている。 

人知れず、フランケンシュタイン男爵がそこで病院を開設しているのである。怖い怖い。