フランケンシュタインの復讐(1958)

"REVENGE OF FRANKENSTEIN"
イギリス / ハマー・フィルム・プロダクション

[Staff]
制作:アンソニー・ハインズ
監督:テレンス・フィッシャー
脚本:ジミー・サングスター/H・ヒューフォード・ジェーンズ
撮影:ジャック・アッシャー
メイク:フィル・リーキー
音楽:レオナルド・サルゼド
配給:コロンビア・ピクチャーズ

[Cast]
ビクター・フランケンシュタイン男爵・・・ピーター・カッシング
ハンス・クレーヴ医師・・・フランシス・マシューズ
マーガレット・コンラート・・・ユーニス・ゲイソン
カール・・・マイケル・グウィン
バーグマン医師・・・ジョン・ウェルシュ
フリッツ・・・リチャード・ワーズワース
管理人・・・ジョージ・ウッドブリッジ
医師会会長・・・チャールズ・ルロイド・ペック
墓掘り・・・ライオネル・ジェフリーズ/マイケル・リッパー
ベラ・・・アンナ・ワームスレ―

[Story]
 今回の実験体は、身体に重い疾患を抱えるカールという男。彼は男爵を断頭台から救った立会人であり、その見返りとして男爵から新しい身体が与えられることを約束されていた。男爵はシュタイン博士と名を変え、病院を開業、その腕の良さから巷の評判を得ていた。一方、貧民窟の住人の医療も手掛け、慈善家としても知られるようになった。

 男爵は医療院の患者を材料に密かに人体を作り上げていた。そして男爵を信望する医師会のクレーバー医師の助力も得、カールの脳をそれに移植をする。かくしてカールは生まれ変わった。

 脳が癒着するまでカールには安静期間が必要だったが、「前の身体」を忌み嫌うカールはその亡骸を焼却するために病室を抜け出し、男爵の実験室に忍び込む。しかしその現場を粗暴な管理人に発見され、頭を殴られた拍子にカールは発狂、管理人を殺して逃亡。次第に身体は元のように歪み、カールは「人喰いの怪物」となってしまう。

 男爵とクレーバーはカールを探し、追跡先のパーティ会場でカールと遭遇する。カールは「フランケンシュタイン!助けてくれ!」と叫び、絶命してしまった。

 この一件で正体が露見してしまった男爵は医療院の患者達からリンチを受け、殺されてしまう。

 時を経て・・・クレーバーの手によって新たな身体を得た男爵は、ハーレー・ストリートのフランク博士として、病院を開いていた。

[Text]
断頭台に送られた男爵が処刑の立会人を買収して生き延び、偽名を使って潜伏し、再び人造人間製造を企てる、ハマーのシリーズ第2作目。 

前作の陰鬱さを漂わせる作りとは裏腹に、幾分ライトに仕上がった作品。怪奇映画というよりはSF映画としての趣が強い。映画全体の色調、雰囲気も明るく、何よりハッピーエンドであるところはフランケンシュタイン映画としては珍しい。 

前作での男爵はその本性が描かれていたが、本作では男爵の社交性を前面に立たせている。 
男爵は極めて優雅であり、魅力ある人当たりの良い人物でもあった。 

残酷シーンはほとんど見られない。面白いことに、そのメスさばきは男爵の食事のシーンに活かされている。大きなナイフとフォークで鶏を切り分け、それを別皿に置き、その皿を手に取り、指で鶏をつまんで口に放り込む。その所作の実に見事なこと! 

男爵が天才医師であることを、この1シーンで間接的に表現しているところが、洒落ている。 

「『フランケンシュタイン』とは怪物の名ではなく、怪物の創造者の名前である」とはよく言われる。 
ところがこの作品では、最後に男爵自身が人造人間になってしまう、という、なんとも皮肉な締めくくりであった。 

とりあえず、「逆襲」と「復讐」で、1つの物語が完結するのであった。 

ちなみに、最後にフランク博士の病院のあるハーレー・ストリートは、ロンドンに実在する有名な通りで、何と医療機関が集結していることで知られている。 

人知れず、フランケンシュタイン男爵がそこで病院を開設しているのである。怖い怖い。

フランケンシュタインの復讐 [DVD]

中古価格
¥4,500から
(2011/12/10 01:40時点)

クラシック・モンスターズ コレクション [DVD]

新品価格
¥8,038から
(2011/12/10 01:40時点)

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://www.majinkan.com/mt/mt-tb.cgi/119

コメントする