1940⇒1949

青ひげ(1944)

"BLUEBEARD"
アメリカ / PRC

[Staff]
制作:レオン・フレムケス
監督:エドガー・G・ウルマー
脚本:ピエール・ジェンドロン
原作:アーノルド・フィリップス
撮影:ジョッキー・アーサー・フェンデル

[Cast]
ガストン・モレル・・・ジョン・キャラディン
ルシール・・・ジーン・パーカー
ルフェブラ警部・・・ニルス・アスター
ジーン・・・ルドヴィグ・ストゥッセル
レナード警部・・・ジョージ・ペンブローク
フランシーヌ・・・テアラ・ローリング
レニー・・・ソニア・ソレル

[Story]
19世紀のパリ、女性ばかりを狙った連続殺人事件が発生。犠牲者の死体は必ずセーヌ河に浮かんでいるところを発見されていた。この連続殺人鬼は「青ひげ」と呼ばれ、世間を震撼させていた。捜査に乗り出したルフェブラ警部は、警備員が気づいた最後の犠牲者の肖像画を元に、捜査線上に浮かんだ画家アルバ・ガロンを追う。

[Text]

はじめに断っておくが、ストーリーは謎解きの要素が押し出されたような書き方になったが、犯人は本編早々にわかる。ストーリーをそのまま書いていたら大変な長文になってしまうので割愛した。「青ひげ」と呼ばれる連続殺人鬼と、それを追う警察との攻防戦の物語である。60分少々の短い作品であるが、脚本は実に緻密で、事件発生から解決までの複線が、ところ狭しと盛り込まれている。犯人は芸術家のガストン・モレル。目をつけた女性を画のモデルとして口説くが、肖像画を描いて、飽きると絞殺してセーヌ河に捨てる、という偏執狂の殺人鬼である。この殺人犯には、芸術家として悲しい過去があり、それが元で殺人に走ったが、実のところ殺人が癖になっていた。
人当たりの良い、二枚目のシリアル・キラーをジョン・キャラディンが器用に演じている。
残酷描写こそないものの、時代を考えるとかなり衝撃的なものだったのではないだろうか?「殺人の暗示」が観客の想像力を掻き立てる。描き方がいちいち陰惨で、後味が悪いことこの上ない。また、事件解決なるも大団円とはいかず、この手のサスペンス物には珍しく、多くの犠牲者を出すことも特筆すべきだろう。

Bluebeard_03.jpg監督はエドガー・G・ウルマー。「黒猫(1934)」「驚異の透明人間(1960)」などの監督である。オーストリア出身で「巨人ゴーレム(1920)」「メトロポリス(1926)」「サンライズ(1927)」「M(1931)」などのアートディレクターでもある。

この作品はPRC(Producers Releasing Corporation)の作品である。ベラ・ルゴシ主演の「DEVIL BAT」など、低予算のスリラー映画を得意とした会社である。