1940⇒1949

ミイラの復活(1940)

"MUMMY'S HAND"
アメリカ / ユニバーサル

[Staff]
監督:クリスティ・キャバンヌ
脚本:グリフィン・ジェイ
撮影:エルウッド・ブレデル
メイク:ジャック・P・ピアース
音楽:ハンス・J・サルタ?/フランク・スキナー
配給:ユニバーサル

[Cast]
スティーブ・バニング・・・ディック・フォーラン
マルタ・ソルバニ・・・ペギー・モラン
ベイブ・ジェンソン・・・ウォレス・フォード
高僧・・・エドゥアルド・シャネリ
アンドヘブ・・・ジョージ・ザッコ
ソルバニ・・・セシル・ケラウェイ
ペトリ博士・・・チャールズ・トロウブリッジ
カリス・・・トム・タイラー

[Story]
  エジプト。カルナック神殿の大神官の死期が近づき、大神官は後継者としてアンドヘブを召還してカルナックの神官の秘儀を伝授した。それは、古代エジプトのアナンカ姫の死とアナンカに恋をした神官カリスにまつわるもので、アナンカを愛するあまり禁忌とされていた復活の儀式を行った罪で不死者の宿命を背負わされたカリスのミイラを操る方法であった。彼らはアナンカ姫の墓を守るため、外敵がそれを侵す時はカリスのミイラを復活させ、その手で敵を倒すことを宿命としてきた墓守だった。
  時同じくして、考古学者のスティーブ・バニングは相棒のベイブと共にエジプトを訪れていた。露店で売っていた割れた壺に興味を示したスティーブはそれをカイロ博物館に持ち込んで同じく考古学者のペトリ博士に鑑定を依頼したところ、その壺に書かれてある模様がアナンカ姫の墓所を示すものであることが分かった。しかしその博物館の館長はカルナックの大神官となったアンドヘブであった。アンドヘブはその壺が偽物だと批難し、手を滑らせた恰好で破壊してしまった。しかしあくまで壺が本物だと信じるスティーブはアナンカの墓の捜索に乗り出した。彼は酒場で著名な奇術師ソルバニと出会って意気投合し、発掘資金の借金を申し出たところソルバニはそれを快諾。かくしてスティーブとベイブはペトリ博士、ソルバニとその娘マルタと共に発掘隊を組織し、アナンカの眠るとされるジャッカルの谷へと向かった。アンドヘブは使徒を駆使してそれを阻止せんとする。
  発掘作業の末、ベイブの仕掛けた爆薬の誤爆によって偶然にも墓が発見された。しかしそこから発掘されたのはアナンカのものではなく、カリスのミイラだったのである。奇しくもその夜はカリスの復活させることのできる満月の夜。発掘を監視していたアンドヘブは伝授された秘儀でカリスを復活させ、探検隊を次々に殺めていったのである。

[Text]

 ユニバーサルのミイラ男映画は『ミイラ再生』(1932)から始まり、本作は2作目になるが、初作の続編ではなく、セミ・リメイクである。ミイラの名前はイム・ホ・テップからカリスに、古代エジプトの王女の名もアンケスナモンからアナンカに変更された。『ミイラ再生』ではミイラ男は己の意志で行動するが、このリメイクではエジプトの高僧から命を受けた神官の指示に従属する。

 満月の夜ごとに謎の植物ターナの葉3枚を煎じた茶をカリスに飲ませることでその最低限の生命活動は維持され、アナンカの墓を暴くものあらば、毎晩9枚のターナの葉を煎じて飲ませることでカリスは動き出し、墓荒らしを攻撃する。

という約束事に沿って、探検隊とアナンカ姫の墓守との攻防の物語が展開する。このグリフィン・ジェイとマックスウェル・シェーンによる脚本は以後のミイラ男映画の物語のセオリーとなる。

 スティーブ・バニングのキャラクターは世界を股にかけた考古学者で活動的なヒーローである。悪漢アンドヘブがその名を耳にしているなど、なにかと有名なようで、その点はインディ・ジョーンズの先駆とも言えるのではないだろうか?

 ミイラ男に扮するのは1940年代の連続活劇『キャプテン・マーベル』で人気を博したトム・タイラー。タイラーはそれまで低予算の西部劇映画で活躍していた。彼がカリス役に配役されたのは、タイラーの鋭い顔つきと暗い目つきがカーロフに似ており、本編中に『ミイラ再生』のカーロフが登場する回想シーンを挿入する都合があったので、その整合性を考えての判断だったといわれている。

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