1940⇒1949

私はゾンビと歩いた!(1943)

"I WALKED WITH A ZOMBIE"
アメリカ / RKO

[Staff]
制作:ヴァル・リュートン
監督:ジャック・ターナー
脚本:カート・シオドマク/アーデル・レイ
原作:イネズ・ウォレス
撮影:J・ロイ・ハント
メイク:モーリス・セイダーマン
音楽:ロイ・ウェブ
配給:RKO

[Cast]
ウェズリー・ランド・・・ジェームス・エリソン
ベッツィ・コネル・・・フランシス・ディー
ポール・ホランド・・・トム・コンウェイ
ランド夫人・・・エディス・バレット
マックスウェル医師・・・ジェームス・ベル
ジェシカ・ホランド・・・クリスティン・ゴードン
アルマ・・・テレサ・ハリス
カリプソ歌手・・・サー・ランスロット
カラフォー(ゾンビ)・・・ダービー・ジョーンズ
ダンサー・・・ジェニ・レ・ゴン

[Story]
 看護師ベッツィは職業紹介所で紹介された西インド諸島セント・セバスチャン島の農園へ赴いた。職務は雇主のポール・ホランドの病床の妻、ジェシカの世話である。屋敷にはその他にポールの異父弟ウェズリーが住み、近隣には兄弟の母ラング夫人が診療所を経営している。到着初日の夜、ベッツィは屋敷の中を彷徨う白いドレスの女に遭遇する。それがジェシカであった。ジェシカは熱病の後遺症で脊髄を侵され、自分の意志では何もできない身であった。あくる日、ベッツィはウェズリーと外で面会中、流しの歌うカリプソを耳にする。それはホランド兄弟のジェシカをめぐる諍いを語る歌だった。ベッツィは、ジェシカの治療を探る過程で現地民の女中からブードゥの司祭が心神喪失の女性を治した話を聞き、ジェシカと共にブードゥの寺院フォンフォートに行く決意をする。案内人はカラフォーという名のゾンビである。寺院へ行くとそこにいたのはランド夫人だった。夫人は信心深い島民の治療を円滑に行うためにブードゥ教を利用していたのだった。夫人は「ジェシカは治らない」と明言する。ベッツィが目を離したすきに、ジェシカがゾンビである事がブードゥ信者に露見した。後日、屋敷に警察が来た。教団がジェシカを儀式の実験台として狙っており、身柄を保護するためだ。そしてその夜、教団が差し向けたカラフォーが屋敷に侵入するに至り、事は重大になっていった。警察の前でランド夫人はジェシカがゾンビであることを打ち明けた。ジェシカはその美しさのためにポールとウェズリーの間に不和が生じ、またウェズリーと不倫関係にあって逃避行を企てていた悪女であった。家庭不和をあざ笑う様を見たランドはフンガンにジェシカをゾンビにするよう依頼したのであった。尚も信用しない警察の冷笑を横にフォンフォートから聞こえる太鼓の音はジェシカを呼び寄せる・・・。

[Text]

 RKOが『キャットピープル』(1942)に続いて制作した、 ヴァル・ニュートンのプロデュースによるホラー映画の第二弾。舞台をブードゥ教の本場である西インド諸島に置き、ブードゥの強大な力とゾンビ伝説を絡めながら、主体となるホランド家の愛憎劇を巧みに描いていく。ホランド一家が抱えていた慢性的な問題は看護師ベッツィがやって来ることによって一気に解消されるわけだが、妻と弟の不貞で人間不信に陥った農園主ポールが、危険を冒してまでゾンビと化したジェシカの治療を試みるベッツィに心打たれ、やがてそれが恋心に変わっていく様が丁寧に描かれており、ただのホラー映画ではなく、傑出したラブ・ロマンスであることも特筆すべきところ。また、恐怖演出も地味ながらも秀逸で、リズミカルなドラミングをバックに展開されるブードゥのダンスや、唯一登場する賦役ゾンビのカラフォーの存在感など、この上なく不気味なエッセンスが散りばめられている。ジョージ・A・ロメロの『Night of the Living Dead』(1968)以前のゾンビ映画の最高峰とも言われる傑作。

私はゾンビと歩いた! THE RKO COLLECTION [Blu-ray]

新品価格
¥3,763から
(2016/11/24 04:14時点)



トラックバック(0)

トラックバックURL: http://www.majinkan.com/mt/mt-tb.cgi/131

コメントする