1940⇒1949

呪いの家(1944)

"THE UNINVITED"
アメリカ / パラマウント

[Staff]
制作:チャールズ・ブラケット/バディ・G・デシルヴァ
監督:ルイス・アレン
脚本:ドディ・スミス/フランク・パートス
原作:ドロシー・マカードル
撮影:チャールズ・ラング
メイク:ウォーリー・ウエストモア
特撮:ファルシコット・エドゥアルト/ゴードン・ジェニングス
音楽:ヴィクター・ヤング
配給:パラマウント

[Cast]
ロデリック・フィッツジェラルド・・・レイ・ミランド
パメラ・フィッツジェラルド・・・ルース・ハッセイ
ビーチ中佐・・・ドナルド・クリスプ
ホロウェイ・・・コーネリア・オーティス・スキナー
バード夫人・・・ドロシー・スティックネイ
リジー・フリン・・・バーバラ・イヴレスト
スコット医師・・・アラン・ネイピア
ステラ・メレディス・・・ゲイル・ラッセル

[Story]
 作曲家のロデリック・フィッツジェラルドと妹のパメラはイギリス・コーンウォールの海沿いに佇む空き家「ウィンワード壮」が気に入り、持ち主のビーチ中佐と面会し購入することに決めた。その際中佐からそこが幽霊屋敷であることを聞かされるが、二人はそれを意に介さなかった。ビーチ中佐の孫娘ステラ・メレデスは母親の思い出の残るその邸を売ることに反対であったが、フィッツジェラルド兄妹の人柄にほだされ、次第に邸に出入りするようになった。ところがそれ以来、ステラの身に危険な現象が降りかかるようになる。夜毎に起きる怪奇現象、ステラの深刻な症状に憂慮した兄妹は近隣に住むスコット医師の手を借りて、家に獲りつく幽霊の正体を暴くため調査を開始する。

[Text]

 今では幽霊屋敷をテーマにしたホラー映画は数多いが、本作は「邸に獲りついた幽霊が心霊現象を起こす怪談」をシリアスに描いた先駆的な作品。それまでアメリカ映画では「幽霊」はコメディ映画で扱われることが通例であった。本作はホラー映画としてよりも、その幽霊の正体が何者なのか?というミステリーとしての向きが強い。英国から招かれたルイス・アレンは当初幽霊を登場させるつもりはなかったが、最終的にパラマウントの判断で幽霊の存在を強調するため、特殊効果による幽霊の描写を加えることになった。英国では1940年代は怪奇映画への検閲が厳しい時代で、その描写はカットされた状態で上映されたが、批評家筋からはその暗喩的な演出は歓迎されたという。ともあれ、本作は以後の「幽霊屋敷物」のステータスを確立した。

 映画の中ではロデリックがステラの前で弾くピアノの即興曲は「星影のステラ」である。ヴィクター・ヤングの有名なジャズ・ナンバー「星影のステラ」は本作のために作られたもの。

 主演のレイ・ミランドはこの作品の出演時点ですでに大スターの一人で、彼はこの翌年にビリー・ワイルダー監督作品『失われた週末』(1945)でアカデミー賞主演男優賞を受賞することになる。ビーチ中佐に扮するは 映画創世記以来、ハリウッドの著名な映画人の一人であるドナルド・クリスプ。TVシリーズの『バットマン』でアルフレッドを演じたアラン・ネイピアがスコット医師に扮する。ヒロインのステラはジョン・ウェインの『拳銃無宿』(1947)で日本でも人気を博したゲイル・ラッセル。制作は『失われた週末』(1945)、『サンセット大通り』(1950)などでビリー・ワイルダーとのコンビで知られるチャールズ・ブラケット。スタッフ、キャストともに超一流が顔を揃えた作品である。

※アメリカン ホラーフィルム ベストコレクション DVD BOX Vol.1 発売元:ブロードウェイ 解説書 著:柳下 毅一郎 参照

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