1960⇒1969

2023年4月アーカイブ

吸血狼男

 ガイ・エンドアの小説『パリの狼男』をベースにハマー・フィルムが手掛けた狼男映画で、テクニカラーで製作された世界初の狼男映画である。また、オリバー・リードの初主演映画ともなった。

 ハマーのホーム・グラウンド ブレイスタジオに建設されたセットは、そもそもスペイン異端審問をテーマにしたRAPE OF SABENAの撮影用であったが、同作の脚本がBBFCの監修を通らず撮影が棚上げになったため本作に使用されることになった。このため、舞台はパリからマドリッドに変更されたという。
 狼男映画はフランケンシュタイン、ドラキュラ、ミイラ男を次々にヒットさせていたハマーで作られるのは自然の成り行きだったが、残念ながら興行成績が先達の怪物映画に比べると著しく思わしくなく、これがトラウマとなって、以降ハマーでは狼男映画が作られることはなかった。
 本作では「狼男に噛まれた者が狼男になる」というユニバーサルの設定を排除。代わりに「聖夜に生まれた子供はイエス・キリストへの冒涜として業を負わされる」という民間伝承を採用した。