ハマーのシリーズ5作目。
男爵は「ノックス博士には二人の助手がいた」とカールに説く。イギリスの犯罪史でも知られる「ロバート・ノックス医師と、検体用の死体調達人バークとヘアによる連続殺人」の事件のことだ。男爵はノックス博士に自分を投影するのだ。カッシングは1959年に「死体解剖記」でそのノックス医師に扮している。事情通にはちょいとニヤリとしてしまう一幕。
加えて、男爵による通り魔殺人と、核心に迫りながらも結局犯人を捕まえることの出来なかった警察は、切り裂きジャックの事件を彷彿とさせる。
イギリスに暗い影を落とした歴代の猟奇殺人事件が色濃く反映されているようだ。イギリス人にとっては風刺的な作品だったのではないだろうか?
宿屋のサロンで宿泊客が、男爵がいる場で、新聞の(男爵の起こした)殺人事件の記事を話題にし「(殺人鬼が)隣にいても気付かないのが怖い」と語るところは、思うに「イギリス国民の心情」そのままなのであろう。
サスペンス性が強く、スピーディな展開。日本で公開された最後のハマー・プロのフランケンシュタイン映画である。
一瞬、スタッフが映ってしまうダウトがある。