1960⇒1969

フランケンシュタイン 死美人の復讐(1967)

"FRANKENSTEIN CREATED WOMAN"
イギリス / ハマー・フィルム・プロダクション

[Staff]
制作:アンソニー・ネルソン・キース
監督:テレンス・フィッシャー
脚本:ジョン・エルダー
撮影:アーサー・グラント
メイク:ジョージ・パートルトン
特撮:レス・ボウイ
音楽:ジェームス・バーナード
配給:20世紀フォックス

[Cast]
フランケンシュタイン男爵・・・ピーター・カッシング
クリスティーナ・・・スーザン・デンバーグ
ヘルツ医師・・・ソーリー・ウォルタース
ハンス・・・ロバート・モリス
ハンスの父・・・ダンカン・ラモント
アントン・・・ピーター・ブライス
カール・・・バリー・ウォーレン
ヨハン・・・デレク・ファウルズ
クレーヴ・・・アラン・マックノートン
巡査長・・・ピーター・マッデン

[Story]
 フランケンシュタイン男爵の助手として働くハンスは誠実な青年であった。しかし彼は、父親が酒に酔った勢いで人を殺め、ギロチンで処刑されたため「人殺しの子」と、人々から疎まれていた。

 ハンスは居酒屋の娘・クリスティーナと相思相愛の仲。クリスティーナは心やさしい娘であったが顔に痣があり、身体も不自由であった。ある時、居酒屋に3人の放蕩者がやって来て、クリスティーナに給仕を強要し、その無様な姿を見て嘲笑した。その場にいたハンスは激昂し、3人と乱闘騒ぎを起こしたが、警察の介入によってその場は納められた。しかし、3人の腹の虫は治まらない。その夜彼らは、その居酒屋に忍び込み、無断で酒を煽ったが、そこにクリスティーナの父親が戻ってきた。犯行が発覚することを恐れた3人は、父親をなぶり殺しにした。

 翌日、ハンスは新しい医者の診療を受けるために旅立つクリスティーナを見送った後、村に戻ると居酒屋に人だかりが出来ていた。ハンスは殺人の容疑者として逮捕され、裁判にかけられた。ハンスには犯行時、クリスティーナと共に静かな夜を過ごしていたアリバイがあったが、彼はそれを言おうとはしなかった。ハンスは死刑を宣告された。

 かつて父親の首を飛ばしたギロチンに首をかけたハンス。偶然そこを、病院から帰って来たクリスティーナが目撃。彼女は不自由な足を引きずりながら懸命にハンスに駆け寄るが、ギロチンの刃は落とされた。ハンスの死を目の当たりにしたクリスティーナは衝撃と絶望の末、川に身を投げてしまったのである。

 ハンスの遺体はフランケンシュタイン男爵が回収した。男爵は村の医者・ヘルツと共に「魂とは、死しても尚、身体に残る物理的なもの」という仮説の基に、あらゆる物体を封じ込める強力なシールドを開発し、魂を保管する方法を編み出していた。そしてハンスの魂は「保管」された。そこにクリスティーナの遺体が男爵とヘルツのもとに運ばれてきた。材料はそろった。男爵とヘルツはクリスティーナの顔のあざと身体の疾患を取り除いて、ハンスの魂を移植し、一人の美しい娘として生まれ変わらせたのである。

 自分は誰なのか?と疑問を抱くクリスティーナに、男爵とヘルツは荒野にそびえ立つギロチンを見せた。それを見たクリスティーナは、少年の声で「パパ!」と叫び、気を失ってしまった。子供の頃に父の処刑を目の当たりにしたハンスの声。クリスティーナの中の「ハンスの意識」が覚醒してしまった。そして、クリスティーナはハンスと自らの意思で、真犯人3人に復讐を遂げるのであった。


[Text]
ハマーのシリーズ4作目。
「フランケンシュタインの怒り」はフレディ・フランシスが監督だったが、本作でテレンス・フィッシャーに戻った。フィッシャーにとっては実に9年振りのフランケンシュタイン映画である。?


 不幸な若い恋人たちの悲恋に重点が置かれている。ハンスの父親は子供のハンスの目の前で首を飛ばされ、ハンスもまた、愛するクリスティーナの目の前で父と同じ死に方をする。親子二代に渡って、一番見られたくない人の目の前で命を絶たれるこのあたりは、非常に残酷だ。?

 「二人の魂は天国で結ばれました」という話はよくあるが、男爵が「魂は物体であり、死んでもある一定時間は体内に残る」ことを証明してしまったために、二人の魂はクリスティーナの中で融合する形で結ばれてしまった。また、二人の清い心は、あまりにもあまりの仕打ちに「凄まじい憎悪に満ちた怨念」に変わり、結果的に女性の形をした「怪物」になり果ててしまったのである。?

 復讐を遂げたクリスティーナは「男爵の目の前で」川に身を投げて命を絶つ。因果応報。男爵は最後の最後に、二人と同じ目を見た・・・と私は思う。暗く、救いが無く、とてつもなく悲しい物語であった。?

 「フランケンシュタインの逆襲」から数えて、ハマーホラーが10年目を迎えた時の作品。?
翌年の1968年にハマー・フィルムは莫大な利益を国にもたらした功績により、エリザベス女王から勲章を受ける栄誉を授かる。この時すでにホラー映画の世界市場はハマーホラーの独擅場であった。?

 また同時に、「2001年宇宙の旅」「猿の惑星」「ナイト・オブ・ザ・リヴィングデッド」の発表によって、SF・ホラー映画は新時代を迎えることになる。

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