1960⇒1969

ミイラ怪人の呪い(1967)

"MUMMY'S SHROUD"
イギリス / ハマー・フィルム・プロダクション

[Staff]
制作:アンソニー・ネルソン・キース
監督:ジョン・ギリング
脚本:ジョン・ギリング
原作:ジョン・エルダー(原案)
撮影:アーサー・グラント
メイク:ジョージ・パーテルトン
特撮:レス・ボウイ/イアン・スクーンス
音楽:ドン・バンクス
配給:20世紀FOX

[Cast]
バジル卿:アンドレ・モレル
スタンリー・プレストン:ジョン・フィリップス
ポール・プレストン:デヴィッド・バック
バーバラ・プレストン:エリザベス・セラーズ
クレア・ド・サングレ:マギー・キンバリー
ロングバロー:マイケル・リッパー
ハシム:ロジャー・デルガド
プレム:ディック・オーウェン
ミイラ:エディ・パウエル

[Story]
1920年、古代エジプトでクーデターの末に流浪の身となり、不遇の死を遂げたカーツベイ王子の墓がイギリスの探検隊によって発見され、その霊廟からカーツベイと、奴隷頭にして王子の守護者プレムのミイラが見つかった。カーツベイのミイラには埋葬布が覆われており、それには墓を荒らす者への呪文が記されていた。探検隊の前にハシムと名乗る墓守が現れ、探検隊を恫喝と脅迫を以て発掘を制止したが探検隊はそれを無視してミイラを霊廟から運び出した。ハシムは博物館から埋葬布を盗み出し、呪文によってプレムのミイラを蘇生させ、探検隊への復讐を開始した。

[Text]

 ハマーのミイラ男シリーズ第三作目。15年に渡ってハマー・プロの作品を生み出してきたブレイ・スタジオで撮影された最後の作品である。

 古代エジプトの回想シーンのプロローグは7分に及ぶ。ナレーションは通説ではピーター・カッシングとされてきたがこれは間違いで実際のナレーターはティム・タナーである。同じくプロローグでファラオの従者役のディッキー・オーウェンは前作『怪奇ミイラ男』(1964)でミイラ男を演じた役者。また、ミイラ男に扮したのはエディ・パウエル。英国を代表するスタント・マンで、007シリーズをはじめ華々しいキャリアの持ち主である。ハマーではクリストファー・リーのスタント・マンとして知られ、ハマー・ホラーを語る上では外せない重要人物だ。『エイリアン』(1979)のスーツ・アクターでもある。

原題にある『Shroud』とは、古代エジプトで埋葬される際の死体を包む布のことで、日本で言うところの経帷子に当たる。テレビ放映される際にはこれを「王旗」としたが、イギリスでいうところの「王旗」は"Royal Standard"となる。実のところ日本語で本作の『Shroud』に該当する適当な言葉が無い。