ハマーのミイラ男シリーズ第三作目。15年に渡ってハマー・プロの作品を生み出してきたブレイ・スタジオで撮影された最後の作品である。
古代エジプトの回想シーンのプロローグは7分に及ぶ。ナレーションは通説ではピーター・カッシングとされてきたがこれは間違いで実際のナレーターはティム・タナーである。同じくプロローグでファラオの従者役のディッキー・オーウェンは前作『怪奇ミイラ男』(1964)でミイラ男を演じた役者。また、ミイラ男に扮したのはエディ・パウエル。英国を代表するスタント・マンで、007シリーズをはじめ華々しいキャリアの持ち主である。ハマーではクリストファー・リーのスタント・マンとして知られ、ハマー・ホラーを語る上では外せない重要人物だ。『エイリアン』(1979)のスーツ・アクターでもある。
原題にある『Shroud』とは、古代エジプトで埋葬される際の死体を包む布のことで、日本で言うところの経帷子に当たる。テレビ放映される際にはこれを「王旗」としたが、イギリスでいうところの「王旗」は"Royal Standard"となる。実のところ日本語で本作の『Shroud』に該当する適当な言葉が無い。