1960⇒1969

吸血狼男(1961)

"CURSE OF THE WEREWOLF"
イギリス / ハマー・プロダクション

[Staff]
制作:マイケル・カレラス/アンソニー・ハインズ/アンソニー・ネルソン・キース
監督:テレンス・フィッシャー
脚本:アンソニー・ハインズ
原作:ガイ・エンドア『パリの狼男』
撮影:アーサー・グラント
メイク:ロイ・アシュトン
特撮:レス・ボウイ
音楽:ベンジャミン・フランケル
配給:ユニバーサル

[Cast]
アルフレド・・・クリフォード・エヴァンズ
レオン・・・オリヴァー・リード/ジュスティン・ウォルタース(少年時代)
牢番の娘・・・イヴォンヌ・ロメイン
クリスティーナ・・・キャサリン・フェラー
シニストロ侯爵・・・アンソニー・ドーソン
乞食・・・リチャード・ワーズワース
テレサ・・・ヒラ・タルフリー
ペペ・・・ウォーレン・ミッチェル
ドミニク・・・ジョージ・ウッドブリッジ
囚人・・・マイケル・リッパー

[Story]
 18世紀スペイン。狡猾な領主シニストロ侯爵の結婚式に物乞いに訪れた乞食は、侯爵によって地下牢に投獄される。いつしかその存在は忘れられ、乞食は牢屋番の娘の世話を受けながら悪戯に時の過行く日々を送っていた。ある日、娘は侯爵の逆鱗に触れたために乞食の牢に入れられ、乞食の凌辱を受けてしまう。娘は公爵を殺して城を逃げ出し、流浪の末に作家のドン・アルフレドに拾われる。娘は身ごもっていた。アルフレドと召使テレサの献身的な介護により、娘は男の子を出産するが、直後に命を落としてしまう。男の子はレオンと名付けられた。しかしレオンはクリスマスに生まれたために神に祝福されず、満月の夜になると獣に変身してしまう宿命を背負ってしまう。

[Text]

 ガイ・エンドアの小説『パリの狼男』をベースにハマー・フィルムが手掛けた狼男映画で、テクニカラーで製作された世界初の狼男映画である。また、オリバー・リードの初主演映画ともなった。

 ハマーのホーム・グラウンド ブレイスタジオに建設されたセットは、そもそもスペイン異端審問をテーマにしたRAPE OF SABENAの撮影用であったが、同作の脚本がBBFCの監修を通らず撮影が棚上げになったため本作に使用されることになった。このため、舞台はパリからマドリッドに変更されたという。
 狼男映画はフランケンシュタイン、ドラキュラ、ミイラ男を次々にヒットさせていたハマーで作られるのは自然の成り行きだったが、残念ながら興行成績が先達の怪物映画に比べると著しく思わしくなく、これがトラウマとなって、以降ハマーでは狼男映画が作られることはなかった。
 本作では「狼男に噛まれた者が狼男になる」というユニバーサルの設定を排除。代わりに「聖夜に生まれた子供はイエス・キリストへの冒涜として業を負わされる」という民間伝承を採用した。