1960⇒1969

吸血鬼の接吻(1963)

"KISS OF THE VAMPIRE (USA TV:KISS OF THE EVIL)"
イギリス / ハマー・フィルム・プロダクション

[Staff]
制作:アンソニー・ハインズ
監督:ドン・シャープ
脚本:ジョン・エルダー
撮影:アラン・ヒューム
メイク:ロイ・アシュトン
特撮:レス・ボウイ
音楽:ジェームス・バーナード
配給:ランク(英)、ユニバーサル(米・日)

[Cast]
ジマー教授・・・クリフォード・エヴァンズ
ラヴナ博士・・・ノエル・ウィルマン
ジェラルド・ハーコート・・・エドワード・デ・スーザ
マリアンヌ・ハーコート・・・ジェニファー・ダニエル
カール・ラヴナ・・・バリー・ウォーレン
サベナ・ラヴナ・・・ジャッキー・ワリス
タニア・・・イソベル・ブラック
ブルーノ・・・ピーター・マッデン
アンナ・・・ヴェラ・クック
神父・・・ノエル・ハウレット

[Story]
 バイエルン地方。イギリス人のハーコート夫婦は自動車で旅行中、ガス欠のため、やむなく寂れた宿屋に滞在を余儀なくされる。その夜、村の名士、ラヴナ博士の館へと招かれるが、そこは吸血鬼一族の館であった。妻・マリアンヌを奪われた夫・ジェラルドは、その土地で吸血鬼退治の研究を重ねているジマー教授の協力を得て、彼らに戦いを挑む。
 ラヴナ博士は教団さながら、吸血鬼の結社を着々と大きくしていたが、ジェラルドと神父の奔走によりマリアンヌが救出された後、ジマー教授の黒魔術によってコウモリの大軍が邸を襲い、吸血鬼結社は滅ぼされたのである。

[Text]

 英国ハマープロが、「吸血鬼ドラキュラ(1958)」「吸血鬼ドラキュラの花嫁(1960」に続いて製作した吸血鬼物である。

 「吸血鬼ドラキュラ」のヒットを受けて、クリストファー・リーのドラキュラで続編"Revenge of Dracula"が?企画された。しかし、リーが同じ役を続投する事を拒否したため、「吸血鬼ドラキュラの花嫁」が製作された。当初企画された脚本には3本の候補があったという。その中には、ヴァン・ヘルシング博士が魔法陣を描き、黒魔術を用いてコウモリの精霊を召還し、吸血鬼を退治する、というものがあったという。その案が本作「吸血鬼の接吻」で採用された。
 本作で登場する、印象的なラヴナ邸の外観は、ハマーホラーにおいて「象徴的」ともいえる建造物(ミニチュア)である。後に「凶人ドラキュラ(1966)」の「ドラキュラ城」として登場するため(作品の知名度やインパクトにおいても「凶人ドラキュラ」の方が勝るためか)「ドラキュラ城」の印象が強いが、実のところそれは「流用」であった。
 ジマー教授が吸血鬼に手を噛まれ、火で焼く事で治療をするシーンが登場する。これもまた、「凶人ドラキュラ」に引き継がれる。もともとは「吸血鬼ドラキュラの花嫁」で使われた治療法であった。
 考えてみれば、旅行者が吸血鬼の御膝元でアクシデントに会う、吸血鬼の城に迷い込む、嫁が狙われる、その土地の「吸血鬼に造型の深い人物」に助けられる、という展開もまた、「凶人ドラキュラ」に受け継がれる。「凶人ドラキュラ」は、本作のパロディなのだろうか?(笑)
 アメリカではテレビ放映の際、「KISS OF THE EVIL」とタイトルが変更され、さらに冒頭の葬儀の参列者をアメリカの役者に差し替えられた。日本でテレビ放映されたものは、アメリカTV版である。

吸血鬼の接吻 -HDリマスター版- [DVD]

新品価格
¥2,928から
(2011/8/20 05:27時点)