1930⇒1939

宇宙飛行(1935)

"космический рейс"
ソ連 / モス・フィルム

[Staff]
監督:ヴァシリー・ジュラヴリョフ
脚本:アレクサンドル・フィリモーノフ
撮影:アレクサンドル・ガリペリン

[Cast]
パーヴェル・イヴァノビッチ・セドゥイフ博士・・・セルゲイ・コマーロフ
カーリン教授・・・ヴァシリ・ゴブリーギン
ヴィクトル・オルロフ・・・ニコライ・フェオクチストフ
アンドリューシャ・オルロフ・・・ヴァシリー・ガポネンコ
マリーナ教授・・・ゼニア・モスカレンコ

[Story]
 近未来の1946年夏、モスクワでのこと。月世界旅行を計画している天体物理学者セドゥイフ博士は、ツィオルコフスキー記念連邦惑星間飛行研究所で日々有人ロケットの開発に明け暮れていた。セドゥイフとライヴァル関係にあったカーリン博士はセドゥイフの有人ロケット実験は時期尚早と猛攻に反対の意を唱えた。カーリンは先にロケット打ち上げの動物実験を実行していたが127号ロケットに乗せたウサギが飛行中に死んでしまったためである。続いて猫を乗せた128号を打ち上げ、カーリンはセドゥイフにその信号を待つように促したが、128号は行方不明になり、業を煮やしたセドゥイフはカーリンの助手マリーナ博士とカーリンと共に実験を阻止しようとしていた大学院生ヴィクトルの弟アンドリューシャを伴って、自ら開発したCCCP1号に乗って月へと旅立つのであった。

[Text]

 月世界旅行をテーマとしたSF映画。現代ロケット工学の基礎的理論を構築し「宇宙旅行の父」と呼ばれたロケット理論の開発者コンスタンチン・ツィオルコフスキーを顧問として招き、当時の最先端科学の成果を緻密に映像化。ロケットの打ち上げや無重力遊泳、月世界探検等を当時の特撮技術の粋を尽くしてシミュレートされている。当時のソ連映画はプロパガンダの一環としての位置づけであったが、体制下で厳しい制約の中での映画製作を余儀なくされていたにもかかわらず、ユーモアあふれる作品に仕上がっていることは称賛に値する。

 当時のソ連ではまだサイレント映画がトーキー映画と並行して製作されていた時代で、本作はサイレント映画として作られたが、トーキーへの意識が非常に高く、サイレント映画であっても台詞字幕は、あたかも言葉が発せられているかのようにモンタージュの中に組み込まれた。本作もまたその方式に則った作品であり、サイレント映画であることを観客に意識させない字幕の在り方には、製作者の努力が垣間見られる。

 本編前半のロケットの格納庫の情景からロケット発射までの見事なまでのミニチュア・ワークは目を見張る。円谷特撮のミニチュア・ワークの原点がここにあった。そして、後半の見どころとなる月世界探検のシーンをハリウッドを圧倒するハイ・クオリティなモデル・アニメーションで表現しており、これもまた見事としか言いようが無い。

 日本では2001年8月4日より、東京三百人劇場で開催された「ロシア映画の全貌2001」にて初めて上映された。

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