1930⇒1939

倫敦の人狼(1935)

"WEREWOLF OF LONDON"
アメリカ / ユニバーサル

[Staff]
制作:スタンリー・バーガーマン(製作総指揮)
監督:スチュワート・ウォーカー
脚本:ジョン・コルトン
原作:ロバート・ハリス(原案)
撮影:チャールズ・ステューマー
メイク:ジャック・P・ピアース
特撮:ジョン・P・フルトン
配給:ユニバーサル

[Cast]
ウィルフレッド・グレンドン博士・・・ヘンリー・ハル
ヨガミ博士・・・ワーナー・オーランド
リサ・グレンドン・・・ヴァレリー・ホブスン
ポール・エイムス・・・レスター・マシューズ
エティ・コームス婦人・・・スプリング・バイントン

[Story]
植物学者のグレンドン博士は、チベットの山奥に幻の花「マリフェイザ・ルピナ(狼草)」を探しに行き、狼男に咬まれる。<br/> 傷を負ったグレンドンはマリフェイザと共にロンドンに帰るが、彼は狼男に咬まれたことで、満月の夜になると狼男に変身するようになってしまった。
それを治すにはマリフェイザの花が必要で、グレンドンは花の開花を人工的に促進させるのだった。しかし、マリフェイザを狙っている者がいた。グレンドンの植物展示会に訪れた謎の東洋人・ヨガミ博士である。彼こそがチベットでグレンドンを襲った、狼男であった。

[Text]

本格的な狼男を扱った世界初の作品。

この作品が作られる3年前に、パラマウントで「ジキル博士とハイド氏(1932)」(ルーベン・マムーリアン監督)が公開されている。
研究家の間ではしばしば、本作と「ジキル博士とハイド氏」の因果関係が語られるようだ。
徳の高い科学者が研究の暴走の結果、凶暴な獣人に変化してしまう、というプロットはスティーブンソンの「ジキル博士とハイド氏」そのもので、同作が無声映画時代から好まれて制作されたことを考えると、「倫敦の人狼」、強いては後年の狼男それ自体が「ジキル博士とハイド氏」の亜流とも言えるのではないだろうか?

狼男のメイク・アップはジャック・P・ピアース、特撮は戦前アメリカ映画の特撮王、ジョン・P・フルトン。「最古の狼男映画」とはいっても、その特撮技術はすでに完成されていて、手間のかかったものである。グレンドン博士の顔に隈ができる変身シーンは、前出の「ジキル博士とハイド氏」のそれと同一のものだった。

グレンドン博士の妻、リサに扮するのはヴァレリー・ホブスン。彼女は同時期、「フランケンシュタインの花嫁」でもフランケンシュタイン博士の妻、エリザベスにも扮しており、すっかり「怪奇な嫁女優」だ。撮影当時18歳というから、これまた随分・・・。

ワーナー・オーランド扮するヨガミ博士は、当初ベラ・ルゴシが予定されていたらしいが実現せず、後に「THE WOLFMAN(狼男の殺人)」で同じような役をやることになる。考えたらルゴシは、ドラキュラ、フランケンシュタインの怪物、狼男と三大モンスターを演じているのだが、ドラキュラ以外が「かすっている」ようなものなので、あまりそんな感じがしない。そもそも「THE WOLFMAN」では狼男役ではあったけれども、具体的なメイクはしていないし。そのかわり「獣人島(1932)」で獣人メイクはしている。

2010年公開の「ウルフマン」のアンソニー・ホプキンス扮する狼男は、本作の設定がベースとなったものだ。

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