1970⇒1979

ウエストワールド(1973)

"Westworld"
アメリカ / MGM

[Staff]
制作:ポール・N・ラザラス?世
監督:マイケル・クライトン
脚本:マイケル・クライトン
原作:マイケル・クライトン
撮影:ジーン・ポリト
音楽:フレッド・カーリン
配給:MGM

[Cast]
ガンマンロボ・・・ユル・ブリンナー
ピーター・マーチン・・・リチャード・ベンジャミン
ジョン・ブレイン・・・ジェームズ・ブローリン
中世の騎士・・・ノーマン・バートオールド
技術主任・・・アラン・オッペンハイマー
中世の女王・・・ヴィクトリア・ショウ
保安官・・・テリー・ウィルソン
保安官になる客・・・ディック・ヴァン・パタン
アリエッタ・・・リンダ・スコット
修理係・・・スティーブ・フランケン

[Story]
 『デロス』は、「西部開拓時代のアメリカ」「13世紀中世ヨーロッパ」「帝政ローマ」の三つの国から成る、最新技術の粋を集めたテーマパークである。
観光客は、コンピュータ制御された精巧なロボットとともに、その世界の住人となり、数々のイベントを楽しむことが出来る。
 シカゴの弁護士ピーターと、その友人ジョンは西部開拓時代の「ウエストワールド」に訪れた。 来て早々、酒場で一杯やっているところに、二人にちょっかいを出すガンマンが一人。ピーターにぶつかり、やたらと挑発してくるこの男を、ピーターは一瞬のうちに銃で倒す。この倒された男もまた、ロボットであった。これが「デロス」のイベントである。
同じ頃、デロスのコントロールセンターではシステムトラブルの問題が起きていた。ロボットの修繕作業が毎日のように研究所で行われていた。
件のガンマンロボがまたも二人の前に現れたが、再び倒した。が、今度はその咎により、ピーターが投獄された。ジョンの助けによりピーターは脱獄に成功、そのため保安官(ロボット)が死ぬことに。二人は「西部のお尋ね者」のイベントを楽しむことになる。そんな時、逃亡先の渓谷で、ジョンがガラガラヘビのロボットに噛まれる事故が起きる。 この件はコントロールセンターでも問題になった。
 その後、三度ガンマンロボが現れ、二人を挑発してきた。二人は嫌々相手をしようとした瞬間、ロボットの拳銃が火を噴き、ジョンが倒れた。とうとう、中枢システムが暴走をはじめ、各地区のロボットたちが、観光客を襲い始めたのである。
 ピーターは恐怖に駆られ、ガンマンロボからの逃亡を図るが、ロボットはどこまでも冷酷に追ってくる。これを止めるには、顔に硫酸をかけるしかない。

[Text]

westworld01.jpg この物語は「ジュラシックパーク」と同じく、「テーマパークの事故」がテーマとなっている。共にクライトン原作という点では、この共通項はとても興味深い。
「ウエストワールド」と「ジュラシックパーク」の決定的な違いは、前者がテーマパークのオープン中、後者はオープン前の出来事である、ということだ。

 「ウエストワールド」は、マイケル・クライトン本人の演出によるものだが、この時代のクライトンは、純粋な「作家」であり、本作もまた。小説風な作りである。
 物語として考えた時に、「客を巻き込んだ、開店中の出来事」とした方が当然話は面白い。
 
 対して「ジュラシックパーク」はその面白さを排除した「開店前」の設定。当然のことながら、小説として書かれるならば、ジュラシックパークもまた、パーク開店中の出来事になるのが自然の流れである。しかし、それが無かったのは、「ジュラシックパーク」の小説自体が「映画化前提」で書かれたからではないだろうか?映画化の際、客をパニックに陥れることは製作費の増幅に繋がる。そこを、映画化しやすいようにクライトンは「ジュラシックパーク」を書いたのではないだろうか?

 いかに科学が発達した世界の物語とはいえ、その設定に少々無理があるところは否めないが、作家性が前面に出ている作りとするならば、多少の無理はいたしかたないところと思う。
 
 デロスのロボットの動きは全てコントロールセンターの人的操作によって成り立っており、基本的に客のプライバシーは無いことになる。そこに来て、このデロスの売りが「置き屋」まがいの風俗的性質であったりする。・・・個人的にいろいろ考えてしまう。
 デロスは、「大人のディズニーランド」であり、大人の夢をかなえるテーマパークなのだ。
 
 「荒野の七人」のクリスの再来である、ユル・ブリンナーのガンマン・ロボの存在感は圧倒的。またこのガンマンは、「ターミネーター」のプロトタイプともいえる。

 主人公のリチャード・ベンジャミンは、日本では「ドラキュラ都へ行く(1979)」での執拗なヘルシング博士の孫役で知られる。80年代に入ってからは、「マネー・ピット(1986)」「花嫁はエイリアン(1988)」をはじめとするコメディ映画を中心に監督としても頭角を現す。

 修理人役として登場するスティーブ・フランケンは、テレビドラマ「奥さまは魔女」ではお馴染みの顔。目をキョロっとさせたボケ役で笑いを誘うが、本作では、シリアスな役どころ。砂漠でロボットの襲撃に怯えるも、あえなく銃弾に倒れてしまう。