1970⇒1979

燃える昆虫軍団(1975)

"BUG"
アメリカ / ウィリアム・キャッスル・プロダクション

[Staff]
制作:ウィリアム・キャッスル
監督:ヤノット・シュワルツ
脚本:ウィリアム・キャッスル、トーマス・ペイジ
原作:トーマス・ペイジ 『The Hephaestus Plague (ヘパイストスの蔓延)』
撮影:マイケル・ヒューゴー
メイク:トム・ミラー・ジュニア
特撮:フィル・コリー、ウォルター・ディオン、カロリー・フォガッシー
音楽:チャールズ・フォックス
配給:パラマウント

[Cast]
ジェームス・・・ブラッドフォード・ディルマン
キャリー・・・ジョアンナ・マイルズ
ジェラルド・・・リチャード・ギルランド
ノーマ・・・ジェイミー・スミス・ジャクソン
マーク・・・アラン・フュッジ
トム・・・ジェッセ・ヴィント
シルヴィア・・・パティ・マッコーマック
チャーリー・・・ブレンダン・ディロン
ヘンリー・・・フレデリック・ダウンズ

[Story]
 アメリカの田舎町に大地震が起き、その直後から謎の火災が頻発。火災現場では次々に大型の甲虫が発見された。甲虫を採集した生物学者ジェームスはこの昆虫が地震による地割れから出現した地底生物であり、灰を常食とし、それを生成するために火打石のような発火装置で火を起こすことを突き止めた。また、地底の高圧環境で生息していたために地表の常圧下では活動が著しく低下し繁殖しないことも判明。研究途上の中、ジェームスの愛妻キャリーが甲虫によって焼死する事故が起きる。ジェームスは甲虫を憎むあまり、更なる研究に没頭する。彼は高圧装置の中で甲虫とゴキブリの交配を試み、新種を誕生させた。彼が生んだ新種はさらに大型で肉食であり、驚くべきことに高い知性を持ち、人間に意思表示することが出来た・・・。

[Text]

 劇場にホラー映画と連動したドッキリ・ギミックを仕掛けたり、映画を観てショック死した観客に保険金を払うと大風呂敷を広げたりと、そのショウマン・シップで知られたプロデューサー、ウィリアム・キャッスルの遺作となった。キャッスルはこの映画で虫が這う感覚を体感させるために客席に観客の足元をブラシでこするギミックを考えていたがこれは実現しなかった。
 監督は『ジョーズ2』(1978)、『ある日どこかで』(1980)、『スーパーガール』(1984)で知られるヤノット・シュワルツ。

 70年代の動物パニック映画ブームに乗って製作された一本であるが、昆虫をミュータントとして描いているSF映画でもある。「放火習性のあるゴキブリ」というと非常にバカバカしい趣ではあるが、架空の原始生物でありながらその生態が非常に細かく設定されており、それを利用して2段階の進化を遂げる過程の演出は実に丁寧だ。同時に、一介の生物学者に過ぎなかったジェームスが新種開発に手を染めるマッド・サイエンティストへと変貌していく様も、冒頭の教会、信心深い妻、聖書、といった「神」のキーワードと相まって、「科学の暴走」を示唆することになる優れた演出。

 ジェームスを演じるブラッドフォード・ディルマンは70年代には本作の他に『大襲来!吸血こうもり』(1975)、『スウォーム』(1978)、『ピラニア』(1978)と動物パニック映画に次々と出演する。

 クライマックスで惨死するキャリーの友人、シルヴィアに扮するは『悪い種子』(1956)の名子役、パティ・マコーマックである。

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