*---スタッフ---*/> [Staff]
制作:カール・レムリ.Jr
監督:ジョージ・メルフォード
脚本:ギャレット・フォート
原作:ブラム・ストーカー、ハミルトン・ディーン(戯曲)
撮影:ジョージ・ロビンソン
配給:ユニバーサル
*---キャスト---*/> [Cast]
ドラキュラ伯爵・・・カルロス・ヴィラリヤス
エヴァ・・・ルピタ・トヴァール
フアン・ハーカー・・・バリー・ノートン
レンフィールド・・・パブロ・アルヴァレス・ルピオ
ヴァン・ヘルシング教授・・・エドゥアルド・アロツァメサ
[Story]
トランシルバニアに巣くう吸血鬼ドラキュラ伯爵は、城にやって来た不動産業者、レンフィールドを下僕にし、ロンドンに渡る。
カーファックスを根城にしたドラキュラ伯爵は、隣家のセワード博士の娘・エヴァと、その友人ルシアを狙う。
まず手始めにルシアを襲う伯爵。
ルシアは死んだ。その身体からは血液が無くなり、首筋には2つの小さな傷が残されていた。
この奇妙な現象に当惑したセワード博士は、奇病の権威であるヴァン・ヘルシング教授に相談を持ちかけた。
教授は「吸血の仕業」であると断定し、調査に乗り出す。
エヴァにもルシアと同じ兆候が表れ始めた時、教授はドラキュラ伯爵と対面する。
*---テキスト---*/> [Text]
英語版と同時進行で作られたスペイン語圏向けのアメリカ映画である。
製作当時は、映画がサイレントからトーキーの時代に入ってまだ間もなく、吹替えの技術が発達していなかった事もあって、同じ脚本とセットを利用して、スペイン語を話す役者を揃えて撮影された。
早朝からら夕方かけてアメリカ版が撮影され、スペイン版はスペイン版のスタッフがそれを見学した上で、夜間に撮影を行ったという。
つまり、同時進行でありながら、ルゴシ版に影響を受けている作品でもある。
スペイン語圏のみの公開であったために、アメリカ未公開で、長らく「失われた作品」だった。
その昔、子供向けの怪奇映画の本で「魔人ドラキュラ ベラ・ルゴシ」とキャプションの付いた写真が掲載されていて、どうも顔が違う、と思っていたのだが、今考えてみればそれは、カルロス・ヴィラリアスであった。
当時はアメリカとスペインでは映画表現の規制が違い、ズペイン版はアメリカに比べて幾分規制が緩かったこともあり、本作はアメリカ版に比べて、女優の衣装も過激であり、吸血シーンがダイレクトに描かれていたり等と、かなり躍動的である。当時では珍しい「移動カメラ」と「ズーム効果」をふんだんに使い、空間の大きさを上手く出している。この点に関しては明らかにアメリカ版を凌駕しているのであるが、逆にアメリカ版のカメラワークが当時の主流だったので、本作の方が革新的だったのかもしれない。
要所要所で英語版で不採用だったカットが多様されており、明らかにドラキュラがルゴシである箇所がある。
今の目で見ると、アメリカ版よりもこちらの方が映画としての体裁を保っているが、やはりルゴシの幽幻的でミステリアスな雰囲気には、カルロス・ヴィラリアスは及ばなかったようだ。ヴィラリアスはルゴシに比べて動きが多く、表情も豊かなのだが、逆にそれが人間くささを助長しているようで、怪物に見えないのである。また、対するヘルシング教授も過剰な表現のため、こちらも知能的に見えず、対決のシーンではまるで「コスプレオヤジとサラリーマンの喧嘩」のようである。
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