1930⇒1939

フランケンシュタイン(1931)

"FRANKENSTEIN"
アメリカ / ユニバーサル

[Staff]
制作:カール・レムリ.Jr
監督:ジェームス・ホエール
脚本:ギャレット・フォート
原作:メアリー・W・シェリー
撮影:アーサー・エディスン
メイク:ジャック・P・ピアース
音楽:バーンハート・カウン
配給:ユニバーサル

[Cast]
ヘンリー・フランケンシュタイン・・・コリン・クライヴ
エリザベス・・・メイ・クラーク
ビクター・モリッツ・・・ジョン・ボーレス
怪物・・・ボリス・カーロフ
ウォルドマン博士・・・ボリス・カーロフ
フリッツ・・・ドワイト・フライ

[Story]
 若き医学生、ヘンリー・フランケンシュタインは、生命創造の研究に没頭し、非合法に人体のパーツをかき集め、人里離れた研究塔で人造人間の創造に成功する。しかし、助手のフリッツが調達してきた脳が犯罪者のものであったために、出来あがったモノは凶暴な怪物であった。
 怪物は鎖に繋がれたが、フリッツの執拗な嫌がらせに怪物は激怒し、鎖をちぎってフリッツを惨殺。怪物は、ヘンリーと、恩師であるウォルドマン博士によって強力な麻酔薬で取り押さえられ、ウォルドマンの提案により解体されることになる。解体はウォルドマンが行う事になったが、解体の準備中に怪物は覚醒し、ウォルドマンは絞殺されてしまう。そしてついに怪物は外に放たれてしまうのであった。

[Text]

 1930年代初頭の作品としてはかなり躍動的な印象がある。本作に比べると「魔人ドラキュラ」は非常に冗長で静的であるが、むしろ「魔人ドラキュラ」の方が当時の作風とも言え、逆に言えば本作「フランケンシュタイン」は当時としてはかなり斬新でショッキングな作品だったといえるのではないだろうか?


 当初、監督はロバート・フローリー、モンスターはベラ・ルゴシが予定されており、カメラテストも行われたが、そのテストは惨憺たる結果に終わった。ルゴシは台詞が無く、顔が隠れるメイクの怪物役を嫌い、プロジェクトを去った。この一件は「ルゴシのキャリアの中で最悪の選択だった」と言われているが、「フランケンシュタイン」の成功は、ボリス・カーロフが演じたモンスターのインパクトにあり、また、あのメイクアップも「カーロフの顔ありき」で構成されているものなので、ルゴシがモンスターを演じたとして、ここまで伝説的な作品になったかは疑問である。 

 モンスターのメイクアップは特殊メイクアップの歴史の中でも最も有名であり、「特殊メイクのカリスマ」的な位置づけである。メイクを手掛けたのはジャック・P・ピアース。当時はラバー素材が存在しなかったので、水糊や水絆創膏等の素材を駆使して、撮影の日ごとにモンスターのメイクを造型していった。そのため、シーンによって若干メイクに相違が生じているが、逆にいえば、その日その日にメイクを造形したにしては、映画全体として整合性が取れている。
 怪物が「電力によって蘇生する」という設定は、本作のオリジナルである。モンスターの首に付いている金属は、落雷の電気を通す「電極」である。これには+極と?極があり(どちらがどちらかは不明)、電力を逆に流すとモンスターは絶命する。この「弱点」は、本シリーズ5作目に当たる「フランケンシュタインと狼男」で明らかにされる。
 
 原作ではフランケンシュタインの名前がビクターで友人の名前がヘンリーだったが、本編では逆になっている。何故逆になったのかは定かではないが、下敷きとなったハミルトン・ディーンの戯曲の段階でこの逆転は採用されている。ちなみに舞台劇「ドラキュラ」でも、ミーナとルーシーの名前の逆転が成されている。

 アメリカフィルム登録簿(国家の責任によって永久保存される)に1991年に登録されている。ちなみに1989年の制度導入以来、ホラー映画としては初めてである。?
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