1970⇒1979

Count Dracula(1977)

"Count Dracula"
イギリス / BBC

[Staff]
制作:モリス・バリー
監督:フィリップ・サヴィル
脚本:ジェラルド・サボリー
原作:ブラム・ストーカー
音楽:ケントン・エムリス・ロバーツ

[Cast]
ドラキュラ伯爵・・・ルイ・ジュールダン
ヘルシング教授・・・フランク・フィンレー
ミナ・ウェステンラ・・・ジュディ・バウカー
ルーシー・ウェステンラ・・・スーザン・ペンハリゴン
レンフィールド・・・ジャック・シェファード
セワード・・・マーク・バーンズ
ジョナサン・ハーカー・・・ボスコ・ホーガン
クインシー・ホルムウッド・・・リチャード・バーンズ

[Story]
ジョナサン・ハーカーは土地取引のためにトランシルバニアのドラキュラ伯爵の城へ向かう。城では全身黒づくめの伯爵に出迎えられ、歓待されるが、陰鬱で不気味な城に怪異現象に悩まされながら長期間幽閉され、命からがら脱出する。ドラキュラ伯爵は船でロンドンに向かい、ジョナサンのフィアンセであるミナの姉妹、ルーシーを手にかける。 ルーシーの容態の急変にオランダからヴァン・ヘルシング教授が招かれ、診察を受けると、教授は「吸血鬼の仕業」であることを直感。誤解を受けながらも調査を続けるうちにルーシーが絶命。そんな中、謎の女性による「子供の誘拐事件」が起こった。救出した子供の喉には、小さな噛み傷が残っていた。さらに調査を進めると、その犯人は吸血鬼と化したルーシーであった。ヘルシング一行はルーシーの墓を暴き、その胸に杭を打ち込むとルーシーは絶叫し、その魂は救われた。さらにミナが伯爵に襲われる。ミナは伯爵の呪われた血を飲まされ、半吸血鬼となる。伯爵は故国に逃走、それを追うヘルシング達。ミーナと伯爵のテレパシーを利用して伯爵を追跡し、ドラキュラ城の正門前で、伯爵にとどめを刺すのであった。

[Text]
前・後編の二部に分かれているテレビドラマである。
多少の設定変更はあるが、原作に忠実に描かれている。怪奇小説である原作をなぞる様に、時間軸も直線的に進行する。全体的に上品に、かつ抑制を効かせていて、どっしりとした雰囲気が作品を引き締めている。
 
ルイ・ジュールダンのドラキュラは、スチールでは「ドラキュラ」のイメージにそぐわないが、なかなかどうして、ドラマ中では完ぺきに成立しており、他の映画を含めても上位に位置する風格。ジュールダン自身、『鉄面皮』の役者なので、「無敵」に見えるのだ。
テレビドラマであるためか、吸血シーンも「恐怖演出」の様式美がとられていないのだが、逆にエロティックさを助長してしまっている感がある。「吸血行為」が性交の延長線上の行為のようだ。また、外でルーシーを襲うシーンは、後の「ブラム・ストーカーズ・ドラキュラ」に応用されている。
 
ルーシーの容態が悪化してから死ぬまでは「エクソシスト」の影響が見られる。ベッドの上で牙をむき出しながら舌をペロペロやるところなど、ちょっと見物だ。前述の通り、随所に「ブラム・ストーカーズ・ドラキュラ」が影響されたようなシーンがあるが、私は映画に比べて本作の方が雰囲気、サスペンス色、共に上かと思う。

ヘルシング教授がフランク・フィンレーである。この陰惨なドラマの中では少々快活だ。ドラキュラのキャラクターとは完全に正反対であり、視聴者に対して安心感を醸し出していたのではないだろうか?