1960⇒1969

恐怖の振り子(1961)

"THE PIT AND THE PENDULUM"
アメリカ / AIP

[Staff]
制作:ロジャー・コーマン
監督:ロジャー・コーマン
脚本:リチャード・マシスン
原作:エドガー・アラン・ポー
撮影:バートレット・A・キャリー
特撮:EntryDataEffect60
音楽:レス・バクスター

[Cast]
ニコラス・・・ヴィンセント・プライス
フランシス・・・ジョン・カー
エリザベス・・・バーバラ・スティール
キャサリン・・・ルアナ・アンダース
レオン・・・アンソニー・カーボーン
マクシミリアン・・・パトリック・ウエストウッド
マリア・・・リン・バーナイ
ニコラス(子供時代)・・・ラリー・ターナー
イザベラ・・・メアリー・メンジーズ
バートロミュー・・・チャールズ・ビクター

[Story]
姉エリザベスの死を調査するため、フランシスは英国からはるばる、エリザベスの嫁ぎ先、スペインのメディナ邸へと赴いた。 義兄ニコラスは「血の病で亡くなった」というが、検死を行ったレオン医師からは、「恐怖のうちに心臓発作で亡くなった」と話が食い違う。 フランシスがニコラスに詰め寄ると、ある部屋に案内された。ニコラスの父、セバスチャンが建造した、巨大な地下拷問室である。エリザベスはこの拷問室に魅了され、ある日何らかの事故で死を遂げたという。しかし、ニコラスは子供の頃、不貞を働いた母を生き埋めにしたのを目の当たりにしたこともあり、「自分はエリザベスを生きたまま埋葬した」と思いこみ、自責の念に駆られていた。レオン医師はエリザベスが確かに死んでいたことを証明するために、納骨堂の棺を開けることを提案。そして棺の蓋をあけると、そこには棺の中で悶絶した形跡のある女性のミイラが現れた。さらに動転するニコラス。その夜、不思議な声に誘われてニコラスが納骨堂に行くと、エリザベスの亡霊が現れ、ニコラスに迫った。拷問室に追い込まれ、恐怖のあまりにニコラスはショック死してしまう。実はエリザベスは生きていた。生き埋葬してしまったエリザベスを不貞の関係にあったレオン医師が助け出し、共謀してニコラスを狂い死にさせてようとしていたのだ。しかし、こんどは死んだニコラスが笑いだし二人に迫ってきた。「イザベラ・・・バートロミュー・・・」と同じく不貞を働いていた母と叔父の名を呼び、「セバスチャン」として蘇った。ニコラスはエリザベスにさるぐつわを噛ませ、鉄の拷問器具の中に押し込め、レオンを奈落に突き落として殺した。そこにニコラスを探すフランシスがやってくる。ニコラスはバートロミューへの復讐に駆られ、フランシスに襲いかかる。フランシスは拷問台に縛られ、巨大な鉄の歯を持つ「振り子」の餌食にされようとしていた。

[Text]

pitandpendulm02.jpgアッシャー家の惨劇(1960)」に続く、AIPのポー・シリーズ第2段。小説「落とし穴と振り子」「早すぎた埋葬」を基にリチャード・マシスンが脚色。
蓋を開けてみれば、「呪いを利用した財産横領の犯罪劇」であり、霊的な要素は全くないのでホラーというよりはサスペンス・スリラー映画だ。
しかし、冒頭の寂しい海岸、城から始まり、主人公が拷問室を去る最後まで「悪魔的」な雰囲気が絶えず、流れるように続くので恐怖色はとても強い。

見目麗しきエリザベスに扮するバーバラ・スティールの悪女っぷりが見どころである。
ポーの作品の特徴でもある「生き埋葬の恐怖」は、このシリーズでも何度となく使われるが、この「恐怖の振り子」のそれは、インパクトが大きく、ショッキング。
「この部屋は二度と開けない」と扉を閉めた後、鉄の箱に取り残されたバーバラ・スティールの恐怖に怯えた眼が、何とも怖い。

異端裁判に熱心だったニコラスの父親の思い出は、後年、ティム・バートン監督作品「スリーピーホロウ」でほぼそのまま引用されている。

ちなみに本作の象徴ともなっている「振り子」であるが、私のこの器具の原体験は子供の頃に観たテレビドラマ「江戸川乱歩シリーズ 死刑台の美女」だった。あまりに強烈なマシンだったので、しばらく夢に出てうなされた。よって、私はこの「振り子」が大嫌いである。