1960⇒1969

狂人の日記(1963)

"DIARY OF A MADMAN"
アメリカ / ユナイテッド・アーチスト

[Staff]
制作:ロバート・E・ケント、エドワード・スモール
監督:レジナルド・ル・ボーグ
脚本:ロバート・E・ケント
原作:モーパッサン
撮影:エリス・W・カーター
特撮:EntryDataEffect60
音楽:リチャード・ラサル

[Cast]
ホルディ判事・・・ヴィンセント・プライス
オデット・・・ナンシー・コヴァック
ポール・・・クリス・ワーフィールド
ジャンヌ・・・エライン・デヴリー
ピエール・・・イアン・ウォルフ
レンヌドン警部・・・ステファン・ロバーツ
レイモンド神父・・・ルイス・マーティン
ルイーズ・・・メアリー・アダムス
エドワード・・・アンドレ・ダルヴィル
ボーマン博士・・・ネルソン・オルムステッド

[Story]
 ホルディ判事は、連続殺人鬼ルイに面会した折、ルイに襲われる。その時、ルイの目が青白く光った。ルイには悪霊が取り憑いていたのだ。
 ルイは死に、その悪霊はホルディ判事に乗り移った。悪霊はホルディをそそのかす様になった。
 そんな中、ホルディは画廊でオデットという美しい娘に出会う。彼女はモデルだった。ホルディはアマチュア彫刻の趣味もあり、オデットをモデルに胸像を作ることになる。それが縁でホルディとオデットは婚約をすることに。しかし、オデットにはすでに夫がいた。貧乏画家の夫に愛想をつかしたオデットはホルディに鞍替えをしたのだが、財産目当てと悪霊にそそのかされた判事は、オデットを惨殺し、その首を胸像彫刻の中に埋めてしまう。そしてオデットの夫が殺人犯として逮捕された。それを知ったホルディは、すべての真実を日記に記し、自ら家に火を放ち、悪霊と共に果てるのであった。

[Text]

 日本未公開作品。
 モーパッサンの短編「オルラ」を基にしてプロデューサーのロバート・E・ケントが脚色。

 ヴィンセント・プライスが「善の顔」と「悪の顔」を使い分け、また、ナンシー・コヴァックも表と裏の顔を使い分けるなど、役者の力量をふんだんに楽しめる。

 ナンシー・コヴァックは同年、「アルゴ探検隊の大冒険」に王女メディア役で出演。翌年に開始された人気テレビドラマ「奥様は魔女」では記念すべき第一話のゲストとして登場した。
その際、サマンサにダーリンを取られ「元婚約者」のシーラを演じ、サマンサに嫌がらせをしてコテンパンに返り討ちに合う、という汚れ役を見事にこなした。
以後、同シリーズに何度か出演し、そのコメディエンヌぶりで実力を示した。この作品のヒロインであるオデットは、メディア王女とシーラの中間あたりの雰囲気。なかなか器用な女優だ。

 ヴィンセント・プライスもまた「コメディ演技」には強く、器用な役者だ。「滑稽な尊大さ」というのはプライスもコヴァックも持ち合わせている「味」であり、ある意味、似たようなタイプの二人が「恋の駆け引き」の芝居をしており、その「演技合戦」がなかなか見物である。