1960⇒1969

ジャックと悪魔の国(1962)

"JACK THE GIANT KILLER"
アメリカ / エドワード・スモール・プロ

[Staff]
制作:ロバート・E・ケント、エドワード・スモール
監督:ネイザン・ジュラン
脚本:オーヴィル・H・ハンプトン、ネイザン・ジュラン
原作:オーヴィル・H・ハンプトン
撮影:デヴィッド・S・ホースレイ
メイク:チャールズ・ゲモラ、フランク・マッコイ
特撮:オーギー・ローマン(特撮)、ティム・バー(人形アニメ)、ウォー・チャン(人形アニメ)、ジム・ダンフォース(人形アニメ)、
音楽:ポール・サットウェル
配給:ユナイテッド・アーチスト

[Cast]
ジャック・・・カーウィン・マシューズ
イレイン王女・・・ジュディ・メレディス
ペントラゴン・・・トリン・サッチャー
ガーナ・・・ウォルター・バーグ
インプ・・・ドン・ベドー
シガード・・・バリー・ケリー
マーク王・・・デイトン・ルミス
コンスタンス・・・アンナ・リー
ピーター・・・ロジャー・モブリー

[Story]
1000年前のイギリス・コーンウォール王国。魔術を用いて悪行の限りを尽くし、追放されていた悪の魔術師ペントラゴンは、手下のモンスターを使ってイレイン姫を狙うが、勇敢な農夫の青年ジャックの活躍により失敗に終わってしまう。コーンウォール王は姫を助けたジャックにナイトの称号を与え、姫の警護とペントラゴン討伐の命を受け、ペントラゴンを倒す冒険の旅に出る。

[Text]

 ?「シンドバッド 7回目の航海(1958)」(公開時題名「シンバッド 七回目の航海」)のヒットを受けて、プロデューサーのエドワード・スモールが同作の監督であるネイザン・ジュランと、シンドバッドを演じたカーウィン・マシューズ、悪役ソクラを演じたトリン・サッチャーを迎えて製作された類似的な作品。

これには、エドワード・スモールが以前にレイ・ハリーハウゼンからシンドバッドの企画を持ち込まれ、「ヒットするわけが無い」と一蹴した経緯がある。しかし、その企画「シンドバット 7回目の航海」は大ヒットとなり、後悔したスモールは急遽同等の作品を製作するに至ったという。ハリーハウゼンにも特撮のオファーをしたが、ハリーハウゼンは辞退した。

登場するモンスターは少なからずハリーハウゼンの作りだした怪物の影響を受けているようだが、その造形は雲泥の差であることは否めない。しかし、その出来の悪さがかえって「手作りの味わい」で、いかにも童話的で愛嬌がある。

反面、ペントラゴンに呪いをかけられた「魔女」のメイクは「原色猫目」のコンタクトレンズの効果も相まって非常に不気味で得も言われぬ凶暴さすら感じられる。

「シンドバッド 7回目の航海」の真似、と揶揄されることが多いが、お手軽なチープさが功を奏してか、絵本から抜け出てきたような世界観が確立されているところなどは、やはりこの作品は捨てがたいのである。